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無料お試し期間の最終日。自動で取り込まれた明細を上から順に直していたら、いつの間にか1時間が経っている。「自動で仕訳される」と聞いて登録したのに、結局ぜんぶ自分の目で確認している。この作業が毎月続くとして、年2万円台を払う意味はあるのか——freee会計の評判を調べている人の多くは、だいたいこのあたりで手が止まる。
先に結論を書く。簿記を新しく学ぶ気がなく、取引の大半が銀行口座とクレジットカードを通っている個人事業主なら、freee会計は有力な候補。逆に、簿記3級程度の知識があって仕訳画面で直接入力したい人、顧問税理士がすでに弥生やマネーフォワードを使っている人は、freeeを第一候補にしないほうが結果的に早い。この記事は、その判断を自分でできるようにするために書いた。
ただし、この記事で扱う「評判」は、公式サイトで確認できる料金・仕様と、公開された場で繰り返し指摘されている論点だけに絞る。満足度何%、レビュー何件、星いくつといった数字は一切出さない。なぜなら、その手の数字は出典をたどれないものが多く、判断材料としては役に立たないからだ。代わりに、プラン表に書いてある事実と、そこから読み取れる不都合を積み上げていく。
なお、この記事を書くにあたって旧版の内容を全面的に作り直している。理由は単純で、以前の版には現在のfreee公式に存在しない法人プラン名(ミニマム等)と、公式の価格表と一致しない金額が含まれていたから。会計ソフトの記事で金額がずれているのは致命的なので、そこを最優先で直した。
この記事でわかること
- freee会計 個人向け4プラン・法人向け5プランの正確な料金(税抜・年払/月払を分けて掲載)
- デメリットとして繰り返し指摘される7つの論点と、それぞれの回避策
- 「入力おまかせ」の従量課金(61件目から70円/件・税別)が効いてくる条件
- freee・マネーフォワード・弥生を年額(税抜)で横並びにした比較表
- 向いている人/向いていない人の具体的な線引き
- 解約・乗り換えのときに詰まりやすいポイント
- 結論:freee会計を選ぶべき人・見送るべき人
- freee会計とは何か|他社と決定的に違う一点
- freee会計の料金【個人事業主向け・税抜】
- freee会計の料金【法人向け・税抜】
- 良い評判として挙げられる点
- 【正直に】デメリット・不満として挙げられる7点
- freee会計が向いている人・向いていない人
- freee vs マネーフォワード vs 弥生【個人事業主編】
- freee vs マネーフォワード vs 弥生【法人編】
- 導入の手順|契約前にやるべき5ステップ
- 解約・乗り換え・契約条件で詰まりやすい点
- 口コミを読むときに気をつけたいこと
- よくある質問(FAQ)
- まとめ|結局、freee会計は買いなのか
- freee会計を契約しようとして、評判を検索したまま数日決めきれていない人
- すでにfreeeを使っていて、マネーフォワードや弥生への乗り換えを迷っている人
- 法人成りのタイミングで、個人向けから法人向けへの切り替え費用を知りたい人
- 顧問税理士から「うちは弥生なんだけど」と言われて判断に困っている人
- 「自動仕訳で楽になる」という宣伝文句を、どこまで信じていいのか測りかねている人
結論:freee会計を選ぶべき人・見送るべき人
会計ソフトは「どれが一番優れているか」で選ぶものではない。自分の簿記知識、取引の流れ方、税理士の有無という3つの条件で、正解が入れ替わる道具だ。だから最初に、freee会計という選択肢が刺さる条件と、外れる条件をはっきりさせておく。
freeeを選んで後悔しにくい3つの条件
ひとつめ。簿記を勉強する予定がないこと。freeeの入力画面は、借方・貸方を並べる従来型の仕訳フォームではなく、「収入があった」「支出があった」という現金の動きから入る独自の形式を軸にしている。簿記を知らない人にとっては、これがそのまま学習コストの削減になる。
ふたつめ。売上も経費も、ほとんどが銀行口座かクレジットカードを通っていること。連携で明細が自動で流れ込んでくる前提の設計なので、現金商売の比率が高いほど、自動化の恩恵は薄れていく。逆に、決済がすべてデジタルで完結している業種ほど相性がいい。
みっつめ。税理士がいないか、いてもfreeeに対応していること。ここは後で詳しく書くが、ソフトの善し悪しより実務への影響が大きい。顧問税理士が別ソフトを使っている状態でfreeeを選ぶと、毎月ではなく毎年、決算のたびに摩擦が発生する。
freeeを見送ったほうがいい3つの条件
反対に、次のいずれかに当てはまるなら、freeeを第一候補から外して比較を始めたほうが早い。①仕訳の形で入力したい簿記経験者、②顧問税理士が弥生またはマネーフォワードで固まっている、③年間コストを1万円台前半に抑えたい——この3つ。
とくに③は数字で確認できる。個人向けの中心価格帯にあたるスタンダードは年払い23,760円(税抜)。一方、マネーフォワード クラウド確定申告のパーソナルは年15,360円(税抜)、やよいの青色申告 オンラインのセルフプランは年11,800円(税抜)で、初年度は条件付きで無料になる。つまり、価格だけを軸に置いた場合、freeeが勝つ構図にはなりにくい。
迷ったときの判断の順番
順番を間違えると時間を溶かす。まず税理士の有無と、その税理士が使っているソフトを確認する。次に自分が仕訳を書けるかどうかを正直に判定する。最後に料金を見る。この順番なら、候補は自然と1〜2個に絞られる。
逆に、料金表から見始めると迷路に入る。なぜなら、月払いと年払いで金額の見え方が大きく変わるうえ、プランごとに使える機能が違うため、同じ土俵で並べたつもりが並んでいないことが起きるからだ。3社の料金を年額ベースで揃えて見たい場合は、freee・マネーフォワード・弥生の3社比較でプラン単位の一覧表にまとめている。
freee会計の導入相談・補助金の対象になるか確認するfreee会計とは何か|他社と決定的に違う一点
freee会計は、freee株式会社が提供するクラウド型の会計ソフト。ブラウザとスマートフォンアプリから使い、インストールは不要だ。ここまでは、マネーフォワードや弥生のクラウド版と変わらない。違いは、もっと根っこの設計思想にある。
「仕訳を書かせない」という設計思想
従来の会計ソフトは、簿記のルールをそのまま画面に載せている。借方に何を置き、貸方に何を置くか。ユーザーが簿記を知っている前提のUIだ。対してfreeeは、簿記の用語を画面から極力追い出し、「お金が入った/出た」という事実の記録から始めさせる。裏側では複式簿記の仕訳に変換されているが、ユーザーはそれを直接触らなくても進める。
この一点が、freeeの評価が真っ二つに割れる理由のすべてと言っていい。簿記を知らない人には「やっと使える会計ソフトが出た」となり、簿記を知っている人には「なぜ仕訳を直接書かせてくれないのか」となる。同じ機能が、ユーザーの前提知識によって長所にも短所にもなる——この構造を理解しておくと、ネット上の評判の食い違いがきれいに説明できる。
自動連携と自動仕訳の実際
銀行口座・クレジットカード・電子マネーなどを登録すると、明細が自動で取り込まれる。取り込まれた明細に対して、freeeが勘定科目の候補を提示し、ユーザーが承認していく流れだ。同じ取引先・同じパターンが繰り返されると、提案の当たり方は安定していく。
ただし、注意しておきたいのは「自動仕訳」は「自動で確定」ではないという点。提案された科目が正しいかどうかの最終判断は、常にユーザー側にある。ここを「登録すれば経理が終わる」と読み替えて契約すると、最初の数か月で必ず落差を感じることになる。詳しくは後述のデメリット編で扱う。
個人向けと法人向けは別の商品として設計されている
freee会計は、個人事業主向けと法人向けでプラン体系が完全に分かれている。個人向けは「スターター/スタンダード/プレミアム/入力おまかせ」の4本立て。法人向けは「ひとり法人/スターター/スタンダード/アドバンス/エンタープライズ」の5本立てだ。
freee法人向けの「ミニマム」「ベーシック」「プロフェッショナル」というプラン名は、現在のfreee公式サイトには存在しません。過去の記事やまとめサイトにはこれらの名称が残っていることがありますが、そこに書かれた金額は現行の価格表とは対応しません。プラン名が上記5種類でない情報源は、価格の根拠として使わないでください。
この「プラン名が変わった」という事実自体、後述するデメリットのひとつ(料金体系の改定リスク)の実例でもある。会計ソフトは数年単位で使う道具なので、契約時の料金がそのまま続く保証はない、という前提で選んだほうがいい。
freee会計の料金【個人事業主向け・税抜】
ここからは公式の価格表に沿って数字を並べる。すべて税抜表示で、月払いと年払いを混ぜないよう分けて記載する。会計ソフトの比較でいちばん事故が起きるのが、この「月額換算と月払いの混同」だ。
個人向け4プランの料金一覧
| プラン | 月払い(月額) | 年払い(月額換算) | 年払い(年額) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| スターター | 1,780円 | 980円 | 11,760円 | 個人向けの入口 |
| スタンダード | 2,980円 | 1,980円 | 23,760円 | 個人向けの中心価格帯 |
| プレミアム | 月払いなし | 3,316円 | 39,800円 | 年払いのみ |
| 入力おまかせ | 月払いなし | 4,150円 | 49,800円 | 60件/月込、61件目から70円/件(税別) |
表を見てすぐ気づくのは、上位2プランには月払いという選択肢が用意されていないことだろう。プレミアムと入力おまかせを使いたければ、年額を先に払う以外に道がない。短期だけ試したい、繁忙期だけ上位機能を使いたい、という使い方は想定されていない設計だ。
月払いと年払いで、年間いくら変わるのか
月払いを12か月続けた場合と、年払いを比べると差は小さくない。公式の価格から単純に計算すると次のようになる。
| プラン | 月払い×12か月 | 年払い(年額) | 年間の差額 |
|---|---|---|---|
| スターター | 21,360円 | 11,760円 | 9,600円 |
| スタンダード | 35,760円 | 23,760円 | 12,000円 |
スターターの場合、月払いを1年続けると年払いの約1.8倍の金額になる。これは「年払いが割引されている」というより、「月払いに柔軟性の対価が上乗せされている」と読むほうが実態に近い。1年使う見込みがあるなら年払い一択、様子を見たいなら月払いで割高を受け入れる、という二者択一になる。
年払いは初回に1年分をまとめて支払う形になります。開業直後で資金繰りが読めない時期に、年額39,800円や49,800円を先に出せるかどうかは、機能の比較とは別の判断軸です。キャッシュフローに不安があるなら、月払いのあるスターターかスタンダードから始めるのが現実的です。
「入力おまかせ」の従量課金は誰に効いてくるか
個人向けで唯一、固定料金で終わらないのが「入力おまかせ」だ。年額49,800円(税抜)に月60件までの処理が含まれ、61件目からは1件あたり70円(税別)の従量課金が発生する。
この60件という上限が、どのくらいの規模感なのかを考えてみたい。仮に月100件の書類を処理した場合、超過は40件。40件×70円で月2,800円、12か月で33,600円が年額に上乗せされる。合計すると83,400円になる計算だ。件数が読めない事業でこのプランを選ぶと、想定外の請求が積み上がるおそれがある。
つまり、入力おまかせが向くのは「月の書類件数が60件前後で安定していて、その入力作業を手放したい」という条件がそろった人。たとえば取引先が固定されていて毎月の請求書・領収書の枚数がほぼ一定、という状態だ。逆に、月によって件数が3倍動くような事業では、コストが読めないという別のストレスを抱え込むことになる。
プランごとの機能差は必ず公式で確認する
ここは断定を避けて書く。プランによって使える機能の範囲は異なるが、どの機能がどのプランから使えるかは改定されることがあり、当サイトでは各機能の提供範囲までは検証していない。請求書の発行、消費税申告への対応、レポートの種類、サポートの内容——このあたりは契約前に公式の機能比較表で必ず自分の目で確認してほしい。
なぜここまで念を押すかというと、会計ソフトは「安いプランで契約したが必要な機能が入っておらず、結局上位に移った」という失敗が非常に起きやすいからだ。上の料金表の差額は、そのまま判断ミスのコストになる。とくに消費税の課税事業者になる年、インボイスの発行が必要になる年は、必要な機能が前年と変わる可能性がある。
freee会計の料金【法人向け・税抜】
法人向けは価格の桁が変わる。個人事業主から法人成りしたタイミングで、コストが一気に跳ねることを知らずに移行する人が少なくない。
法人向け5プランの料金一覧
| プラン | 月払い(月額) | 年払い(月額換算) | 年払い(年額) |
|---|---|---|---|
| ひとり法人 | 3,980円 | 2,980円 | 35,760円 |
| スターター | 7,280円 | 5,480円 | 65,760円 |
| スタンダード | 11,980円 | 8,980円 | 107,760円 |
| アドバンス | 公式に記載なし | 39,780円〜 | 公式に記載なし |
| エンタープライズ | 要問い合わせ | ||
すべて税抜。表の「公式に記載なし」は、当サイトが公式サイトを確認した時点で金額が掲載されていなかった項目で、推測では埋めていない。アドバンスは年払いの月額換算が「39,780円〜」と案内されており、「〜」が付いている以上、構成によってこれ以上になる可能性があると読むべきだ。
法人成りで発生するコストの段差
個人のスタンダード(年23,760円)から、法人のひとり法人(年35,760円)へ移ると、年間で12,000円増える。ここまではまだ緩やかだ。問題は、従業員を雇って法人スターター(年65,760円)に上がる局面で、個人のスタンダード(年23,760円)の約2.8倍に達すること。
さらにスタンダード(年107,760円)まで行くと、年間10万円を超える固定費になる。この金額になると、「税理士に記帳から任せた場合の費用」と比べる段階に入ってくる。顧問料は事業規模や依頼範囲によって大きく幅があるため断定はできないが、ソフト代だけで年10万円を超えるなら、専門家に外注する選択肢も同じテーブルに載せて考えるのが自然だろう。
法人でも月払いと年払いの差は大きい
| プラン | 月払い×12か月 | 年払い(年額) | 年間の差額 |
|---|---|---|---|
| ひとり法人 | 47,760円 | 35,760円 | 12,000円 |
| スターター | 87,360円 | 65,760円 | 21,600円 |
| スタンダード | 143,760円 | 107,760円 | 36,000円 |
スタンダードでは年間36,000円の差になる。月払いを選び続けることは、毎年3万円台のオプション料を払って「いつでも辞められる状態」を買っているのと同じだ。1年以上使うことがほぼ確定しているなら、年払いにしない理由は薄い。
年払いは1年分を先に支払う契約です。途中で解約した場合の未使用期間の扱い(返金の有無・条件)は、契約前に公式の利用規約および料金ページで必ず確認してください。当サイトでは返金条件を検証できていないため、ここで断定的な案内はしません。年額が大きい法人プランほど、この確認を省略したときの影響が大きくなります。
良い評判として挙げられる点
先にfreeeが評価されている側面をまとめる。ここを飛ばして欠点だけを並べても、判断材料としては片手落ちになるからだ。ただし「利用者の◯%が満足」といった数字は使わない。公開された場で繰り返し語られている論点と、仕様として確認できる事実に絞る。
簿記を知らないまま確定申告までたどり着ける
もっとも多く語られるのがこの点だ。借方・貸方という用語を一度も理解しないまま、画面の質問に答える形で帳簿を作り、そのまま確定申告書類の作成まで進める。簿記の学習に時間を割かずに済む設計が、初めて自分で申告する人に支持されている。
これは単なる「わかりやすさ」の話ではない。簿記を学ぶには、教材代と数十時間の学習時間がかかる。その時間を本業に回せることが、実質的なコスト削減になっているという評価の仕方が、もっとも実態に近いだろう。青色申告の流れそのものを把握しておきたい場合は、青色申告とe-Taxのやり方で手順を分解している。
銀行・クレジットカード連携による記帳の省力化
口座やカードを登録しておくと、明細が自動で取り込まれる。通帳を見ながら1件ずつ手入力する作業が消える、という点は多くの利用者が挙げる利点だ。とくに複数の口座とカードを使い分けている人ほど、束ねて見られる価値が大きくなる。
ただし、すべての金融機関が連携に対応しているわけではない点は押さえておきたい。地方銀行や信用金庫の一部、法人向けの特殊な口座などは対象外のことがある。契約前に、自分が実際に使っている金融機関が対応リストに入っているかを公式サイトで確認しておくと、後から困らない。
スマートフォンでの経費登録に対応している
専用アプリからレシートを撮影し、その場で経費として登録できる。移動中や打ち合わせ直後に処理を済ませてしまえるため、レシートを財布に溜め込んで年度末に泣く、という事態を避けやすい。
一方で、アプリだけですべての作業が完結するわけではない。複雑な処理や最終確認はパソコンで行う前提になっている。そのため「スマホ完結」を期待して契約すると、想定と違ったと感じる場面が出てくる。この点は後段のデメリットで改めて扱う。
クラウドなので法改正への追従を意識しなくていい
インストール型のソフトと違い、クラウドは提供側がシステムを更新する。インボイス制度や電子帳簿保存法のような制度変更があったとき、利用者がバージョンアップ作業をする必要がない。制度の変化が続く時期に、更新作業そのものを考えなくていいのは実務上の利点だ。
とはいえ、システムが対応していることと、自分の設定が正しいことは別の話。制度に対応した機能が実装されていても、事業者側で登録番号や税区分の設定を入れなければ意味がない。「ソフトが対応しているから大丈夫」で止めず、自分の設定状況を一度は点検してほしい。
【正直に】デメリット・不満として挙げられる7点
ここがこの記事の本題。良い面だけを並べて終わる記事は、タイトルに対する裏切りになる。それぞれについて「具体的に何が困るのか」と「回避できるのか」まで書く。
①自動仕訳は「自動で終わる」わけではない
もっとも期待と現実のギャップが生まれやすいのがここだ。明細の取り込みは確かに自動だが、提示された勘定科目が正しいかどうかを確認し、違っていれば直す作業は人間に残る。とくに使い始めの時期は、過去のパターンが蓄積されていないため、提案が当たらないことが多い。
何が困るか。「記帳が自動化される」と聞いて契約したのに、毎月30分〜1時間の確認作業が残る。しかもその作業は、慣れないうちは「これで合っているのか」という不安とセットになる。金額の大小にかかわらず1件ずつ判断が必要なので、件数が多い事業ほど負担が積み上がる。
回避策はある。使い始めの1〜2か月を「学習期間」と割り切り、修正を丁寧に行うこと。取引先ごとに使う科目が決まっているなら、初期段階でその設定を入れておくと、以降の提案の当たり方が安定しやすい。最初に手間をかけるほど後が楽になる構造なので、繁忙期に導入しないことも実は重要だ。
②簿記経験者ほど独自UIに戸惑う
freeeの強みである「仕訳を書かせない設計」は、簿記がわかる人にとっては遠回りになる。頭の中ではすでに仕訳ができているのに、それを一度「収入があった/支出があった」という形に翻訳してから入力しなければならないからだ。
何が困るか。今まで1分で終わっていた入力が、慣れるまで3分かかるという状態が続く。経理を担当してきた人が転職先でfreeeに切り替わったケースや、税理士事務所のスタッフが顧問先ごとに違うソフトを触るケースでは、この摩擦が日常的なストレスになる。
回避策としては、無料で試せる期間に実際の自分のデータで入力してみること。カタログの機能一覧を眺めても、この違和感は絶対にわからない。1週間分の取引を入れてみて、指が覚えるかどうかを体感で判定するのが確実だ。
③税理士がfreeeに対応していない場合の摩擦
実務への影響がもっとも大きいのが、おそらくこの論点。顧問税理士が弥生やマネーフォワードで業務を組んでいる場合、こちらがfreeeを使っていると、決算や申告のたびにデータの受け渡しで手間が発生する。
何が困るか。「自分は楽になったが、税理士側の作業が増えた」という状態は、たいてい顧問料に跳ね返る。あるいは、税理士から「こちらのソフトに合わせてほしい」と言われ、1年分のデータを移し替える羽目になる。ソフトの機能比較とはまったく別の次元で、コストと時間が発生する。
回避策は単純で、契約前に税理士へ一本連絡を入れること。「freeeを検討しているが対応しているか」と聞くだけでいい。この確認を飛ばして契約した人が、あとで一番後悔している。税理士がいない場合でも、将来依頼する可能性があるなら、その地域でfreee対応の事務所が見つかるかを軽く調べておくと安心できる。
④料金水準は競合より高めに設定されている
これは感想ではなく、公式の価格表を並べれば見える事実だ。個人向けで比べると、freeeスタンダードが年23,760円(税抜)なのに対し、マネーフォワード クラウド確定申告のパーソナルは年15,360円(税抜)、やよいの青色申告 オンラインのセルフプランは年11,800円(税抜)。同じ「個人事業主向けの中心プラン」という位置づけで、1万円前後の開きがある。
何が困るか。5年使えば差額は5万円規模になる。会計ソフトは一度決めると乗り換えコストが高いため、この差が長期にわたって固定費として効いてくる。とくに売上規模が小さい時期ほど、年1万円の差は無視できない。
回避策としては、価格差に見合う価値が自分にあるかを言語化してみること。「簿記を学ばずに済む」ことに年1万円の価値があると思えるなら妥当な出費。逆に、すでに簿記がわかっているなら、その1万円は払う理由がない。
⑤プラン体系・料金が改定される
本記事の冒頭で触れた「ミニマム」というプラン名の消滅が、まさにこの実例だ。法人向けのプラン名は現在「ひとり法人/スターター/スタンダード/アドバンス/エンタープライズ」の5種類で、過去の名称は公式サイトに残っていない。
何が困るか。契約したときの金額と機能の組み合わせが、数年後も同じである保証がない。プラン再編にともなって、今まで使えていた機能が上位プランに移動すれば、実質的な値上げになる。クラウドサービス全般に言えることではあるが、固定費として計画に組み込む以上、リスクとして認識しておく必要がある。
回避策は限定的だ。できるのは、年に一度は公式の料金ページを自分で確認する習慣を持つことくらい。ネット上の比較記事は更新が追いついていないことが多く、この記事も含めて、最終確認は必ず公式で行ってほしい。
⑥「入力おまかせ」の従量課金でコストが読めなくなる
個人向けの入力おまかせは年49,800円(税抜)に月60件まで含まれ、61件目からは1件70円(税別)が加算される。この構造自体は明示されているので不透明ではないが、月々の件数が変動する事業では年間コストが事前に確定しない。
何が困るか。前述のとおり月100件なら年33,600円の上乗せ、合計83,400円になる。年初に予算を組んだつもりが、繁忙期の件数増で崩れる。固定費のつもりで契約したものが変動費だった、という認識のズレが問題の本質だ。
回避策は、契約前に過去12か月分の書類件数を実際に数えること。感覚ではなく実数で確認する。60件を安定して下回っているなら問題はなく、頻繁に超えるなら、そもそも入力を外注するか別の方法を検討したほうが合理的なこともある。
⑦上位プランに月払いがなく、クラウド依存も避けられない
個人向けのプレミアムと入力おまかせには月払いの設定がない。短期間だけ試す、という入り方ができないため、上位プランを検討する時点で年額の支出を確定させる必要がある。
加えて、クラウドサービスである以上、インターネット接続が前提になる。回線が不安定な環境では作業が止まり、提供側でシステム障害が起きれば自分側では手の打ちようがない。インストール型のソフトのように「手元のパソコンだけで完結する」という安心感は得られない。
回避策としては、定期的にデータをCSVなどの形式で書き出して手元に保存しておくこと。サービス側の障害対策としてだけでなく、後述する乗り換えや解約のときにも、この習慣がそのまま役に立つ。
メリット・デメリット一覧
| 観点 | プラスに働く場合 | マイナスに働く場合 |
|---|---|---|
| 独自の入力方式 | 簿記を学ばずに帳簿が作れる | 簿記経験者には入力が遠回りになる |
| 自動連携 | 口座・カード中心の事業は記帳が省力化 | 現金取引が多いと恩恵が薄い/非対応の金融機関がある |
| 自動仕訳の提案 | パターンが固まると確認だけで済む | 初期は提案が外れ、確認・修正の手間が残る |
| 料金(個人スタンダード) | 年23,760円で確定申告まで自力で完結できる | 競合の中心プランより年1万円前後高い |
| 上位プランの支払い方法 | 年払いなら月額換算は下がる | プレミアム・入力おまかせは月払い不可 |
| 入力おまかせの従量課金 | 件数が60件以内なら定額で収まる | 超過分は1件70円(税別)で年間コストが読めない |
| 税理士との連携 | freee対応の税理士なら共有が容易 | 非対応だと決算ごとに摩擦とコストが発生 |
| クラウド提供 | 制度改正への更新作業が不要 | 通信環境と提供側の稼働に依存する |
freee会計が向いている人・向いていない人
ここまでの内容を、人物像の形に落とし込む。自分がどちらに近いかで判断してほしい。
向いている人
- 簿記の知識がなく、これから学ぶ予定もない個人事業主・フリーランス
- 売上入金も経費支払いも、ほぼすべてが銀行口座とクレジットカードを通っている
- 複数の口座・カードを使い分けていて、一箇所にまとめて把握したい
- 今年はじめて自分で確定申告をする、または税理士なしでやってみたい
- 顧問税理士がいない、またはfreeeに対応した税理士に依頼している
- 年2万円台の固定費を、簿記の学習時間を買う対価として納得できる
この層にとっては、freeeの価格差は「機能の差」ではなく「学習を省略する対価」として意味を持つ。簿記の教材を買い、数十時間かけて学ぶコストと比較すれば、年1万円の上乗せは十分に説明がつく。
向いていない人
- 簿記3級以上の知識があり、仕訳の形で直接入力したい人 — 独自UIが毎日の摩擦になる
- 顧問税理士が弥生・マネーフォワードで固まっている人 — 決算のたびに受け渡しコストが発生する
- 年間コストを1万円台前半に抑えたい人 — 同等クラスの他社プランのほうが安い
- 現金商売の比率が高い事業 — 自動連携の恩恵が小さく、手入力が残る
- すでに他ソフトで数年分のデータが蓄積されている人 — 移行の手間が利点を上回りやすい
- 原価管理・工事台帳など業種特有の管理が必要な事業 — 汎用の会計ソフトでは足りない領域がある
- インターネット接続が不安定な環境で作業する人 — クラウド前提の設計と噛み合わない
判断がつかないときのチェック方法
どちらとも言い切れない場合は、次の3つを実際にやってみるといい。ひとつ、自分が使っている金融機関が連携対象かを公式サイトで確認する。ふたつ、税理士に「freeeに対応しているか」を聞く。みっつ、無料で試せる期間に、先月分の実データを1か月分まるごと入力してみる。
この3つで、判断に必要な情報のほとんどが揃う。逆に言えば、口コミをいくら読んでも、この3点は自分で確かめないとわからない。他社と迷っているなら、マネーフォワード クラウドとfreeeの比較で設計思想の違いを整理しているので、そちらも判断材料にしてほしい。
freee vs マネーフォワード vs 弥生【個人事業主編】
ここからは3社を同じ土俵に載せる。金額はすべて税抜・年額で統一した。月額表示と年額表示が混ざった比較は、それだけで判断を誤らせるからだ。
個人向けプランの年額比較
| サービス | プラン | 年額(税抜) | 特記事項 |
|---|---|---|---|
| freee会計 | スターター | 11,760円 | 月払いは1,780円/月 |
| スタンダード | 23,760円 | 月払いは2,980円/月 | |
| プレミアム | 39,800円 | 年払いのみ | |
| 入力おまかせ | 49,800円 | 年払いのみ/60件超は70円/件(税別) | |
| マネーフォワード クラウド確定申告 | パーソナルミニ | 10,800円 | 消費税申告に非対応 |
| パーソナル | 15,360円 | — | |
| パーソナルプラス | 35,760円 | — | |
| やよいの青色申告 オンライン | セルフプラン | 11,800円 | 初年度1年間無料(条件あり)/WebFAQのみ |
| ベーシックプラン | 22,800円 | 初年度1年間無料(条件あり)/電話・メール・チャット(利用10回上限) | |
| トータルプラン | 39,600円 | 初年度19,800円/仕訳・業務・確定申告相談あり |
この表で最初に目に入るのは、入口の価格がほぼ横並びだという点だろう。freeeスターター11,760円、マネーフォワードのパーソナルミニ10,800円、やよいのセルフプラン11,800円。1,000円の差しかない。
差がつくのは中心プランだ。freeeスタンダードが23,760円なのに対し、マネーフォワードのパーソナルは15,360円。年間8,400円の開きがある。機能の範囲は各社で異なるため単純な優劣にはならないが、価格を主軸に置くならこの差は決定的だ。
やよいの青色申告 オンラインのセルフ・ベーシックは1年間無料になりますが、口座振替またはクレジットカード情報の登録が必要です。無料期間の終了後は通常年額で自動更新されます(前月末までのキャンセルは可能)。「条件なしで無料」ではないため、2年目以降の金額を織り込んで比較してください。なお、やよいの白色申告 オンラインには永年無料のフリープランがありますが、サポートはWebFAQのみで、3年間ログインがないと利用できなくなる仕様です。
設計思想で選ぶ場合の比較
| 比較軸 | freee会計 | マネーフォワード クラウド | 弥生 |
|---|---|---|---|
| 入力の考え方 | お金の出入りから入る独自形式 | 仕訳の形に近い入力 | 従来型の会計ソフトに近い |
| 簿記知識の必要度 | なくても進められる | あると扱いやすい | あると扱いやすい |
| 簿記経験者の操作感 | 慣れが必要 | 馴染みやすい | 馴染みやすい |
| 個人・入口の年額(税抜) | 11,760円 | 10,800円 | 11,800円(初年度無料・条件あり) |
| 個人・中心プランの年額(税抜) | 23,760円 | 15,360円 | 22,800円(初年度無料・条件あり) |
| 電話サポート | 公式で要確認 | 公式で要確認 | ベーシック以上に設定あり(10回上限) |
| 無料で使い続けられるプラン | なし | なし | 白色申告のフリープランあり |
表からわかるのは、3社が別々の層を狙っているということ。freeeは簿記を知らない層、マネーフォワードは価格と機能のバランス、弥生はサポートと無料枠。どれが優れているかではなく、自分がどの層にいるかの問題だ。
マネーフォワード クラウドの料金プランを公式で確認する消費税申告が必要になる年は要注意
ひとつ、プラン選びで見落とされやすい論点がある。マネーフォワードのパーソナルミニは消費税申告に対応していない。インボイス発行事業者として登録した場合や、課税事業者になった年には、このプランでは足りなくなる。
同じ観点は他社にも当てはまる。「今年必要な機能」ではなく「来年必要になる機能」で選ぶと、年度途中でのプラン変更を避けられる。課税事業者になる見込みがあるなら、その時点で必要な機能を各社の公式機能表で確認してから契約したほうがいい。弥生との比較をより詳しく見たい場合は、freeeと弥生の比較記事にプラン単位でまとめてある。
freee vs マネーフォワード vs 弥生【法人編】
法人になると価格構造が変わり、差の出方も変わる。こちらも税抜・年額で揃える。
法人向けプランの年額比較
| サービス | プラン | 年額(税抜) | 月払い(税抜) |
|---|---|---|---|
| freee会計 | ひとり法人 | 35,760円 | 3,980円/月 |
| スターター | 65,760円 | 7,280円/月 | |
| スタンダード | 107,760円 | 11,980円/月 | |
| マネーフォワード クラウド | ひとり法人 | 29,760円 | 3,980円/月 |
| スモールビジネス | 53,760円 | 5,980円/月 | |
| ビジネス | 77,760円 | 7,980円/月 | |
| 弥生会計 Next | エントリープラン | 34,800円 | 公式に記載なし |
| ベーシックプラン | 50,400円 | 公式に記載なし | |
| ベーシックプラスプラン | 84,000円 | 公式に記載なし |
ひとり法人クラスでは、freee 35,760円に対してマネーフォワード 29,760円、弥生会計 Next エントリー 34,800円。6,000円程度の差で、大勢に影響する水準ではない。月払いの金額も、freeeとマネーフォワードのひとり法人はどちらも3,980円で同額だ。
差が広がるのは中位以上。freeeスターター65,760円に対し、マネーフォワードのスモールビジネスは53,760円、弥生のベーシックは50,400円。さらに上のクラスでは、freeeスタンダード107,760円に対し、マネーフォワードのビジネスが77,760円、弥生のベーシックプラスが84,000円。この上位クラスでは年間2〜3万円の開きが生まれる。
プラン名が似ていても、含まれる機能の範囲は各社で異なります。「freeeスターター」と「マネーフォワードのスモールビジネス」は、名前が違うだけでなく中身も一対一で対応しません。金額だけを並べた表は入口の目安として使い、実際の判断は各社の機能比較表を突き合わせて行ってください。弥生会計 Next には最大2か月の無料体験がありますが、決算書の作成・出力はできない仕様です。
法人で「安さ」以外に効く判断軸
法人の場合、年間数万円の差より影響が大きい要素がある。ひとつは税理士との接続。法人は決算と法人税申告が必ず発生し、多くの会社が税理士に依頼する。ここで税理士の使用ソフトと噛み合わないと、毎年決算期にコストが乗る。
もうひとつは従業員が増えたときの拡張性。ユーザー数の上限、権限設定の細かさ、経費精算や給与計算との連携——このあたりは、ひとり法人のうちは気にならないが、3人、5人と増えた段階で効いてくる。弥生会計 Next のエントリープランはユーザー3名まで無料と案内されており、この観点での比較材料になる。
弥生の料金プラン・キャンペーン条件を公式で確認する導入の手順|契約前にやるべき5ステップ
ここまでの内容を実際の行動に落とす。順番が重要で、逆にやると手戻りが発生する。
顧問税理士がいるなら、まずここ。「freeeを検討しているが対応しているか」と聞くだけで済みます。いないなら、将来依頼する可能性があるかを考え、あるなら地域でfreee対応の事務所が見つかるかを軽く調べておきます。この確認を飛ばして契約するのが、もっとも後悔が大きいパターンです。
メインの銀行口座、事業用のクレジットカード、決済サービス。実際に使っているものをすべて洗い出し、freee公式サイトの対応金融機関一覧で照合します。自動連携が使えない口座が多いと、freeeを選ぶ最大の理由が消えます。
今年ではなく来年です。課税事業者になる見込みはあるか、請求書の発行は必要か、従業員を雇う予定はあるか。この3つを書き出してから、各プランの機能表と照合します。年度途中でのプラン変更は、支払い方法によっては面倒になります。
無料お試しの提供有無と期間は公式サイトで確認してください。試せるなら、サンプルデータではなく、先月分の自分の取引をまるごと入力します。1か月分やれば、入力方式が自分の頭に合うかどうかがはっきりします。ここで違和感が残るなら、無理に続けないほうがいい。カタログを何度読んでも、この判定だけは代替できません。
1年以上使うことがほぼ確定しているなら年払い。判断がつかないなら月払いで割高を受け入れる。個人スタンダードなら年間12,000円、法人スタンダードなら年間36,000円が「いつでも辞められる状態」の値段です。この金額を見てから決めてください。
この5ステップのうち、1・2・4は契約前でなければ意味がない。契約してから税理士に相談して「うちは対応していない」と言われるのが、いちばん無駄な流れだ。所要時間は合計しても数時間程度なので、年数万円の判断としては十分に見合う。
解約・乗り換え・契約条件で詰まりやすい点
会計ソフトの記事で、ここまで書かれていることは少ない。だが実際に人が困るのは、たいてい入り口ではなく出口だ。
年払いを途中で解約したときの扱い
結論から書く。年払いの途中解約における未使用期間の返金可否・条件は、当サイトでは検証できていない。公式の利用規約と料金ページで必ず確認してほしい。ここを推測で書くと、金額が大きいだけに実害につながる。
確実に言えるのは、年払いは1年分を先に支払う契約形態だということ。法人スタンダードなら107,760円(税抜)を先に払う。事業の先行きが不透明な時期に、この金額を1年分コミットすることのリスクは、機能の比較とは別に考える必要がある。
解約するとデータはどうなるのか
クラウドサービス全般に共通する論点として、解約後はサービス上でデータを閲覧・編集できなくなるのが一般的だ。freeeについても、解約後のデータ保持期間や閲覧可否は公式の案内を確認してほしい。
ここで効いてくるのが、帳簿の保存義務だ。帳簿書類は法令で定められた期間、保存しておく必要がある。会計ソフトを解約したからといって、過去の帳簿が不要になるわけではない。税務調査や融資申請の場面で、過去の数字を求められることもある。
解約手続きの前に、必要なデータをすべて書き出して手元に保存する。仕訳帳、総勘定元帳、決算書、取引先ごとの明細——自分の事業で必要になりうるものを洗い出し、CSVやPDFなど、freee以外でも開ける形式で保存します。解約後に「あのデータが必要だった」と気づいても、取り戻せない可能性があります。
他社から乗り換えるときの現実的なタイミング
乗り換えは期の切り替わりに合わせるのが基本。個人事業主なら年末年始、法人なら事業年度の切り替え時期だ。なぜなら、期の途中で移すと、期首残高の設定と期中の取引の整合を取る作業が発生し、ここでミスが出ると帳簿全体の数字がずれるからだ。
また、データを移せるといっても、すべての項目が一対一で移るとは限らない。勘定科目の体系が各社で異なるため、対応付けの作業が必要になることがある。数年分のデータを蓄積している人ほど、この移行コストが乗り換えの利点を上回りやすい。
つまり、「乗り換えたほうが年1万円安い」という理由だけで動くのは、必ずしも得ではない。移行にかかる自分の作業時間を見積もり、それを時給換算して差額と比べてみてほしい。新規で始める人と、すでに使っている人では、正解が変わる典型的な場面だ。
口コミを読むときに気をつけたいこと
最後に、情報の読み方そのものについて書いておく。会計ソフトの評判は検索すれば大量に出てくるが、そのまま信じると判断を誤る種類のものが混ざっている。
料金の数字は、驚くほど古いまま残っている
この記事の旧版がまさにそうだった。法人プランに「ミニマム」という、いまは存在しない名称が残り、個人向けの金額も現在の価格表と一致していなかった。会計ソフトの料金は改定される。そして比較記事の更新は、たいてい追いついていない。
見分け方はある。法人プラン名が「ひとり法人/スターター/スタンダード/アドバンス/エンタープライズ」以外で書かれている記事は、価格情報が古い可能性が高い。また、税抜か税込か、月払いか年払いの月額換算かを明記していない記事も、比較の土台として使わないほうがいい。同じソフトの同じプランが、書き方ひとつで倍近く違って見えることがある。
「◯%が満足」「レビュー◯件で星◯」を根拠にしない
この記事では、満足度の割合やレビュー件数、星の数を一切出していない。理由は単純で、出典をたどれない数字が多く、たどれたとしても母集団の条件がわからないからだ。「利用者の90%が満足」と書かれていても、誰にどう聞いたのかがわからなければ、判断材料としての価値はほぼない。
役に立つのは、「何が起きたか」が具体的に書かれている記述のほうだ。「使いやすかった」より「地方銀行の口座が連携対象外で手入力になった」のほうが、はるかに判断に効く。口コミを読むときは、感想ではなく事実の記述を拾ってほしい。
評価が割れているとき、割れている理由を見る
freeeの評判は「使いやすい」と「使いにくい」が同じくらいの量で存在する。これは矛盾ではなく、書き手の簿記知識が違うだけだ。前述したとおり、同じ独自UIが、簿記を知らない人には利点になり、知っている人には欠点になる。
だから、評判を読むときは「その人は自分と同じ条件か」を先に確認する。簿記の知識、事業の規模、現金取引の比率、税理士の有無。この4つが自分と違う人の評価は、そのまま自分には当てはまらない。逆に、条件が近い人の記述は、星の数より何倍も参考になる。個別の使用感を追いたい場合は、freeeの機能レビュー記事も条件を確認しながら読んでほしい。
よくある質問(FAQ)
まとめ|結局、freee会計は買いなのか
freee会計は、「簿記を学ばずに帳簿を作る」という一点に価格を払う道具だ。この記事で見てきたとおり、料金面では競合より高く、簿記経験者にとっては入力方式が遠回りになり、税理士が非対応なら決算のたびに摩擦が生じる。欠点ははっきりしている。
それでも、簿記の知識がゼロの状態から自分で確定申告まで到達したい人にとって、この設計は代えがたい。マネーフォワードのパーソナルとの差額は年8,400円(税抜)。この金額を「簿記を学ぶ数十時間を買う値段」と考えて納得できるかどうかが、判断の分かれ目になる。
今日やるべきことは1つだけ。顧問税理士がいるなら、いま連絡して「freeeに対応しているか」を聞く。いないなら、freee公式サイトで自分のメインバンクが連携対象に入っているかを確認する。この1つが片付けば、残りの判断は一気に軽くなる。
まとめ
- 個人向けは4プラン。スターター年11,760円/スタンダード年23,760円/プレミアム年39,800円/入力おまかせ年49,800円(すべて税抜・年払い)
- 法人向けは5プラン。ひとり法人年35,760円/スターター年65,760円/スタンダード年107,760円(税抜・年払い)。アドバンスは月額換算39,780円〜、エンタープライズは要問い合わせ
- 「ミニマム」「ベーシック」「プロフェッショナル」は現行の公式サイトに存在しない旧プラン名。この名称が出てくる情報源は価格の根拠にしない
- プレミアムと入力おまかせに月払いはなく、年額を先に支払う必要がある
- 入力おまかせは月60件込み、61件目から70円/件(税別)。件数が変動する事業はコストが読めない
- デメリットは7点。自動仕訳の確認作業が残る/簿記経験者ほど戸惑う/税理士非対応時の摩擦/料金が競合より高い/プラン改定リスク/従量課金/クラウド依存
- 個人の中心プランはfreee 23,760円、マネーフォワード 15,360円、やよい青色ベーシック 22,800円(すべて税抜・年額)
- 契約前にやるべきは3つ。税理士の対応可否を聞く/金融機関が連携対象か調べる/無料期間に実データを1か月入力する
- 年払いの途中解約時の返金条件と、解約後のデータ保持条件は公式で要確認。解約前に帳簿データを必ず書き出す
3社の料金をプラン単位で横並びに確認したい場合はfreee・マネーフォワード・弥生の3社比較、弥生との違いを深く見たい場合はfreeeと弥生の比較、マネーフォワードとの設計思想の違いはマネーフォワード クラウドとfreeeの比較で扱っている。確定申告の手続きそのものに不安があるなら、青色申告とe-Taxのやり方を先に読んでおくと、ソフト選びの基準がはっきりする。
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