
和室に足を踏み入れた瞬間、畳がふわりと沈んだ。去年はこんな感触ではなかった。押し入れの下の板を指で押すと、思っていたより簡単にへこむ。そして4月の夕方、換気口のあたりから小さな羽アリが数十匹、列をなして出てきた——ここまで来ると、もう「気のせい」では片づけられません。
シロアリ駆除で最初に知りたいのは、結局いくらかかるのかという一点でしょう。先に結論を書きます。一般的な30坪(約100㎡)の戸建てで、床下全体にバリア工法(薬剤処理)を行う場合の総額は15万〜30万円が中心的な価格帯です。坪単価に直すと6,000〜10,000円、㎡単価では1,800〜2,500円あたりが相場になります。ベイト工法(毒餌設置)を選ぶ場合は20万〜35万円程度と、やや高くなります。
ただし、この金額は「床下に入れて、被害が広がっていない」前提の数字です。土台や柱が食害を受けて交換が必要になると、駆除費とは別に木部補修の工事費が積み上がります。だからこそ、費用を左右する本当の分岐点は施工単価ではなく、どの段階で床下を見たかにあります。この記事では相場の内訳から工法の選び方、業者の見極め方、そして無料で床下を診てもらう方法までを順に整理します。
この記事でわかること
- シロアリ駆除の費用相場を坪数別・工法別の早見表で確認できる
- 見積書の内訳のどこを見れば「高いのか妥当なのか」が判断できる
- バリア工法とベイト工法のどちらを選ぶべきかが自分の家の条件でわかる
- シロアリ被害を放置した場合に実際に何が起きるのか(耐震性・修繕費・保険の扱い)
- 悪質業者が使う代表的な手口と、その場で見抜くための質問
- 市販薬剤によるDIYで対応できる範囲と、明確に無理な範囲の線引き
- 駆除費用が確定申告の雑損控除の対象になる条件(予防費用は対象外)
- 費用をかけずに床下の状態だけ先に確認する方法
- シロアリ駆除の費用相場は総額15万〜30万円【坪数別早見表】
- 見積書のどこを見るか|費用の内訳と「高い見積もり」の見分け方
- 放置すると何が起きるのか|耐震性・修繕費・火災保険の現実
- シロアリは3種類。種類によって費用と工法が変わる
- 自宅にシロアリがいるサイン7つ|今日確認できるチェック項目
- バリア工法とベイト工法の違い|どちらを選ぶべきか
- シロアリ駆除の流れを5ステップで解説
- 費用が上下する5つの要素|同じ坪数でも金額が変わる理由
- シロアリ駆除業者の選び方7つのポイント
- 悪質業者の手口と、その場で見抜く質問
- DIYでできる範囲とできない範囲|市販薬剤の限界
- まず無料の床下診断で現状を確認する|アサンテという選択肢
- シロアリ駆除の費用を抑える4つの方法(雑損控除を含む)
- シロアリ駆除に関するよくある質問(FAQ)
- まとめ|今日やるべきことは1つだけ
シロアリ駆除の費用相場は総額15万〜30万円【坪数別早見表】
シロアリ駆除の費用は、施工する床下の面積に単価を掛けて算出されるのが基本です。業界で使われる単位は坪と㎡の両方があり、坪単価6,000〜10,000円、㎡単価1,800〜2,500円あたりが広く流通している水準です。2026年時点で複数の業者・比較メディアが公表している調査でも、バリア工法の平均坪単価はおおむね6,000円台前半に収まっています。
坪数別・シロアリ駆除費用の早見表(バリア工法)
| 延床面積 | 施工面積の目安 | 単価6,000円/坪 | 単価8,000円/坪 | 単価10,000円/坪 |
|---|---|---|---|---|
| 20坪(約66㎡) | 1階床面積 約10〜12坪 | 約6万〜7万円 | 約8万〜10万円 | 約10万〜12万円 |
| 25坪(約83㎡) | 1階床面積 約13〜15坪 | 約8万〜9万円 | 約10万〜12万円 | 約13万〜15万円 |
| 30坪(約100㎡) | 1階床面積 約15〜20坪 | 約9万〜12万円 | 約12万〜16万円 | 約15万〜20万円 |
| 40坪(約132㎡) | 1階床面積 約20〜25坪 | 約12万〜15万円 | 約16万〜20万円 | 約20万〜25万円 |
| 50坪(約165㎡) | 1階床面積 約25〜30坪 | 約15万〜18万円 | 約20万〜24万円 | 約25万〜30万円 |
※施工面積は「延床面積」ではなく「1階の床面積(=床下の面積)」で計算されるのが一般的です。2階建て30坪の家なら、施工対象は15〜20坪程度になります。ここを混同すると見積額の印象が倍近く変わるため、見積書では必ず施工面積の数字を確認してください。
表を見てわかるとおり、同じ30坪の家でも単価が6,000円か10,000円かで金額は倍近く違います。一方で、単価が安ければ得とは限りません。薬剤のグレード、保証年数、浴室や玄関まわりの処理が含まれるかどうかで内容が変わるためです。安い単価の見積もりで玄関・浴室・勝手口が「別途」になっていると、合計では高い方の見積もりを上回ることがあります。
工法別・規模別の費用比較表
| 工法/作業 | 単価の目安 | 30坪住宅の総額目安 | 効果の持続 | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|
| バリア工法(薬剤処理) | 1,800〜2,500円/㎡ | 10万〜30万円 | 約5年 | 床下に人が入れる一般的な戸建て |
| ベイト工法(毒餌設置) | 2,500〜4,000円/㎡相当 | 20万〜35万円 | 設置継続中(年次更新) | 床下が狭い・薬剤を避けたい・小さな子やペットがいる |
| 予防のみ(被害なし) | 1,500〜2,500円/㎡ | 8万〜25万円 | 約5年 | 新築から5年経過・前回施工から5年経過 |
| 木部補修・土台交換 | 被害範囲で変動 | 5万〜100万円超 | — | すでに構造材が食害されている |
| 床下換気扇・調湿材の設置 | 1台3万〜8万円/調湿材は別途 | 10万〜40万円 | 設備寿命まで | 床下の湿気が根本原因になっている |
※金額は2026年9月時点で確認できた複数業者の公表価格・相場情報をもとにした目安です。実際の金額は床下の状況・地域・業者によって変動します。契約前に必ず現地調査にもとづく見積書を取得してください。
駆除と予防で金額はどう違うか
シロアリ工事は「すでにいるものを駆除する工事」と「まだいないうちに予防する工事」の2種類に分かれます。作業内容は薬剤処理という点で似ていますが、目的が違うため扱いも変わります。予防工事は床下全体に薬剤を行き渡らせる定型作業に近く、金額が読みやすい一方、駆除工事は被害箇所の特定と集中処理が必要になるため、追加作業が発生しやすくなります。
この違いは税金の扱いにも影響します。後述しますが、駆除費用は確定申告の雑損控除の対象になり得るのに対し、予防費用は対象になりません。同じ工事でも「駆除」と「予防」を明細で分けてもらえるかどうかで、手元に残る金額が変わる可能性があります。
見積もりを比べる前に、自宅の1階の床面積を把握してください。固定資産税の課税明細書や、新築時の建築確認図面に記載があります。この数字がないまま業者と話すと、提示された施工面積が妥当かどうかを自分で検証できません。相場の知識が役に立つのは、自分の家の面積を知っているときだけです。
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見積書のどこを見るか|費用の内訳と「高い見積もり」の見分け方
複数社から見積もりを取ると、総額だけが並んだ紙が手元に残ることがあります。しかし総額だけでは比較になりません。シロアリ工事の見積書は、次の5つの項目に分解して読むと差が見えてきます。
見積書を分解する5つの項目
| 項目 | 確認すること | 差が出やすいポイント |
|---|---|---|
| ①施工面積 | 何㎡(何坪)で計算しているか | 延床面積で計算されていると実態より高くなる |
| ②薬剤の単価と名称 | 使用薬剤の商品名・成分・登録番号 | 薬剤名が書かれていない見積書は比較不能 |
| ③処理範囲 | 玄関・浴室・勝手口・上がり框が含まれるか | ここが「別途」だと総額が2〜5万円上がる |
| ④木部処理の有無 | 土台・大引・束への穿孔注入が含まれるか | 床下土壌処理のみの見積もりは安く見える |
| ⑤保証と点検 | 保証年数・点検回数・再発時の負担 | 同額でも5年保証と1年保証では価値が違う |
特に注意したいのは③と⑤です。玄関や浴室は構造上シロアリが侵入しやすい場所であり、ここを処理しない工事は床下だけきれいにして侵入経路を残すことになります。また保証については、年数だけでなく「保証期間中に再発した場合、再施工は無償か」「木部の損害まで補償するのか、それとも再施工のみか」を確認してください。保証書の文面に書かれていない補償は、口頭で言われても実行されません。
「安すぎる見積もり」が安くならない理由
坪単価3,000円台といった相場の半値以下の提示を受けたときは、その単価が何に対する単価なのかを必ず聞いてください。よくあるのは、床下の土壌処理だけを単価に含め、木部への穿孔注入・玄関・浴室・保証をすべて別項目にしているケースです。作業当日に「ここも処理しないと保証が出せません」と追加提案を受け、結果として相場を超える支払いになる流れが、消費者トラブルとして各地の消費生活センターに継続的に寄せられています。
一方で、単価が相場より高い見積もりが常に不当というわけでもありません。床下の高さが極端に低く、ほふく前進でしか進めない現場、束石の数が多く作業効率が落ちる現場では、同じ面積でも工数が倍近く変わります。高い理由を現場写真つきで説明できる業者は、むしろ信頼できる側です。問題は金額の高低ではなく、その金額の根拠を説明できるかどうかです。
①施工面積(㎡または坪)②使用薬剤の商品名と希釈倍率 ③処理範囲(玄関・浴室・勝手口を含むか明記)④保証年数と再発時の対応。この4つが書かれていない書面は、見積書ではなく概算メモです。口頭説明のみで契約を進めようとする業者は、この時点で候補から外して構いません。
放置すると何が起きるのか|耐震性・修繕費・火災保険の現実
「今すぐ困っていないなら、来年でもいいのではないか」。この判断が最も高くつきます。シロアリ被害の費用構造は、駆除費が一定なのに対して、補修費が時間とともに増えていくという形をしています。つまり放置は、支払いを先延ばしにしているのではなく、支払総額を増やしているだけです。
食害は構造材から始まる
シロアリが最初に到達するのは、地面に近く湿気を含んだ土台と大引です。ここは建物の重量を基礎に伝える部材であり、住宅の構造耐力上主要な部分に該当します。表面は無傷に見えても内部が空洞化していることが多く、外観からは進行度がわかりません。土台が食害されると、地震時に本来想定されていた耐力が発揮されず、建物の変形量が大きくなります。
ここで重要な制度上の事実を1つ挙げます。建築基準法施行令第49条第2項は、構造耐力上主要な部分である柱・筋かい・土台のうち地面から1メートル以内の部分に有効な防腐措置を講じ、あわせて「必要に応じ」しろありその他の虫による害を防ぐ措置を講じなければならないと定めています。条文が「必要に応じ」という書き方であるため、法律がすべての住宅にシロアリ対策を一律に義務づけているとは読めません。防蟻処理を続けるかどうかは、最終的に所有者の判断に委ねられているのが現状です。
補修費は駆除費の数倍になる
駆除だけで済む段階の費用が15万〜30万円である一方、土台や柱の交換が必要になった場合の木部補修は、範囲によって5万円から100万円超まで広がります。床の張り替え、浴室の解体復旧、外壁の一部撤去が必要になる現場では、駆除費よりも大工工事費が主要な支出項目になります。住宅の維持費という観点では、こうした突発的な大規模補修を避ける設計が重要であり、同じ発想で外構や設備のメンテナンス計画を立てるならタウンライフエクステリアの評判と外構見積もりの取り方も参考になります。
火災保険ではまず下りない
「火災保険で直せるのではないか」という期待は、残念ながらほぼ外れます。一般的な住宅用火災保険は、火災・落雷・破裂爆発・風災・水災などの偶然の事故を対象としており、シロアリによる食害は虫害・自然の消耗として補償対象外とされているのが通例です。補償範囲は商品や特約で異なるため断定はできませんが、シロアリ被害を前提に保険金を見込んだ資金計画は立てないほうが安全です。自宅の保険がどこまでをカバーしているのかを一度確認しておきたい場合は、火災保険の比較と補償範囲の確認ポイントで自分の契約内容を照らし合わせてください。
売却時に必ず露見する
もう1つの見えにくい損失が、資産価値の下落です。中古住宅の売買では建物状況調査(インスペクション)や買主側の内覧で床下を確認されることがあり、シロアリ被害や過去の食害痕は査定に直接影響します。売主には契約不適合責任があるため、知っていて告知しなかった場合は引き渡し後に修補や減額を求められるリスクも残ります。将来的に売却や住み替えを検討している場合は、被害の有無を把握しておくこと自体が資産防衛になります。査定額の相場感を先に知りたい方は不動産一括査定サイトの比較で複数社の評価を確認しておくと、補修にいくらまでかけるべきかの判断材料になります。
①木部補修費(5万〜100万円超)②耐震性の低下という定量化しにくい損失 ③火災保険では回収できない自己負担 ④売却時の査定減額と告知義務。駆除を1年先延ばしにして節約できるのは駆除費の利息分だけであり、増えるのはこの4項目です。
シロアリは3種類。種類によって費用と工法が変わる
日本の住宅に被害を与えるシロアリは、実務上ほぼ3種類に絞られます。そして厄介なのは、種類によって生息場所も工法も費用も変わるという点です。「シロアリ駆除」という同じ言葉で呼ばれていても、ヤマトシロアリの工事とアメリカカンザイシロアリの工事は、作業内容がまったく異なります。
主要3種の比較表
| 種類 | 主な分布 | 羽アリの発生時期・時間 | 羽アリの体長 | 被害の特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ヤマトシロアリ | 北海道南部〜九州(ほぼ全国) | 4〜5月の日中 | 約3.5〜6.0mm | 湿った木材を好む。床下・浴室まわりが中心 |
| イエシロアリ | 関東南部以西の温暖地・沿岸部 | 6〜7月の日没後 | 約7.4〜9.4mm | 巣が大きく加害速度が速い。2階まで到達しうる |
| アメリカカンザイシロアリ | 関東・関西の都市部などで確認 | 日差しのある日中 | 約8.0〜11.0mm | 乾いた木材を食害。床下処理では防げない |
※体長・時期は各専門業者が公開している生態情報にもとづく一般的な目安です。地域や気候により前後します。種類の最終判定は現地での確認が必要です。
ヤマトシロアリ|もっとも遭遇する種類
日本の住宅被害の大半を占めるのがヤマトシロアリです。湿気を含んだ木材を好み、床下、浴室の土台、勝手口まわり、玄関の上がり框など、水と地面に近い場所から侵入します。巣を1か所に固定せず、餌場そのものに分散して生息するため、被害箇所を見つけたらその周辺に群れがいると考えて差し支えありません。
加害速度は次に挙げるイエシロアリより緩やかですが、それは安心材料にはなりません。ゆっくり進むぶん気づくのが遅く、発見時にはすでに土台の内部が空洞になっているケースが多いためです。床下の薬剤処理(バリア工法)がもっとも効果を発揮するのがこの種類であり、費用相場もこのケースを前提に語られています。
イエシロアリ|温暖地で被害が大きくなる種類
関東南部より西の温暖な地域、特に海沿いの地域で見られるのがイエシロアリです。特徴は巣の規模で、1つのコロニーが数十万から百万匹規模になることがあり、加害のスピードがヤマトシロアリとは比較になりません。水を運ぶ能力を持つため、乾いた木材まで湿らせて食べ進み、条件が揃えば2階の柱や小屋組まで被害が及びます。
そのため、イエシロアリが疑われる場合は床下処理だけで完結しません。巣の場所を特定し、建物周辺の樹木や擁壁まで含めて調査範囲を広げる必要があります。作業範囲が広がるぶん費用も上がりますが、範囲を絞った安い工事では再発します。西日本の沿岸部に住んでいて、6〜7月の夜に羽アリを見た場合は、この種類を前提に相談してください。
アメリカカンザイシロアリ|床下処理では防げない外来種
もっとも判断が難しいのが、この外来種です。名前のとおり「乾材」を食べるため、地面から侵入するという前提が成り立ちません。輸入家具や建材、木製梱包材に紛れて建物に入り、小屋裏、2階の柱、家具、床材など建物のどこにでも定着します。床下に薬剤を撒く工法は、この種類には原理的に効きません。
見分け方の手がかりは、被害材の表面にできる直径3〜4mm程度の丸い穴と、そこから落ちてくる砂粒状の糞です。木材の下に乾いた粒が溜まっているのを見つけたら、この種類を疑ってください。対処は被害材の交換、部分的な薬剤注入、場合によっては建物全体を覆う燻蒸処理となり、費用構造も相場表とは別枠になります。一般的な坪単価の相場を持ち込んで「高すぎる」と判断すると、必要な工事を見送ることになります。
種類の同定そのものは専門知識が必要で、写真だけでの判別には限界があります。ここは業者に任せてよい部分です。一方で、「どの種類だと判断したか」「その根拠は何か」「だからどの工法を選ぶのか」という説明を受ける権利は施主にあります。種類を明言せずに定額パッケージだけを提示する業者には、この3つを必ず質問してください。
自宅にシロアリがいるサイン7つ|今日確認できるチェック項目
床下に潜らなくても確認できるサインがあります。以下の7項目は、いずれも工具なしで今日確認できるものです。1つでも当てはまるなら、点検の優先度は高いと考えてください。
サイン①〜④|見た目と音でわかるもの
- 羽アリが室内や換気口から出てきた— もっとも明確なサインです。春から初夏の羽アリは、コロニーが成熟して新しい巣を作る段階に達したことを意味します。数匹ではなく列や群れで出てきた場合、発生源は自宅の内部です。
- 蟻道(ぎどう)がある— 基礎コンクリートや束石の表面に、土と分泌物で作られた細い筋状の道が走っていることがあります。シロアリは光と乾燥を避けるため、移動経路にトンネルを作ります。これが見つかれば生息はほぼ確定です。
- 床を踏むと沈む・きしむ— 和室の畳、廊下、浴室の脱衣所まわりで、以前はなかった沈みやきしみを感じる場合、根太や大引が食害されている可能性があります。
- 柱や巾木を叩くと空洞音がする— 指の関節で軽く叩き、他の場所と音を比べてください。ポンポンと軽い音がする箇所は内部が食われていることがあります。
サイン⑤〜⑦|見落としやすいもの
- ドアや窓の建具が急に動きにくくなった— 土台や柱が食害されて建物がわずかに沈むと、建具の枠が歪んで動きが悪くなります。「築年数のせい」と片づけられやすい症状ですが、変化が1〜2年の短期間で起きた場合は要注意です。
- 木材の下に砂粒状の糞が落ちている— アメリカカンザイシロアリの典型的なサインです。掃除しても数日で同じ場所に溜まる場合、上部の木材に生息しています。
- 床下や押し入れがカビ臭い— シロアリの直接的な証拠ではありませんが、床下の湿気が高い状態を示します。湿気はヤマトシロアリの侵入条件そのものであり、被害がなくてもリスクは高い状態です。
市販の殺虫スプレーを吹きかけて散らすのは、もっとも避けたい対処です。薬剤の刺激を受けたシロアリは逃げて別の場所に移動し、被害範囲が広がるうえ、発生源の特定が難しくなります。正しい対応は、①掃除機で吸って数匹を袋に保管(種類の判定材料になる)②出てきた場所を写真で記録 ③そのまま業者に見せるの順です。
- 春から初夏に羽アリを室内または家のまわりで見た人
- 前回のシロアリ工事から5年以上経過している人(薬剤の効果期間は約5年が目安)
- 築10年以上で一度もシロアリ点検を受けていない人
- 床下に水まわりの漏水履歴がある人、または雨漏りを修理した経験がある人
- 庭に古い切り株・木杭・ウッドデッキ・段ボールの野積みがある人
- 近隣で「シロアリが出た」という話を聞いた人(コロニーは敷地をまたいで広がります)
- 2〜3年以内に自宅の売却・相続・住み替えを検討している人
バリア工法とベイト工法の違い|どちらを選ぶべきか
シロアリ駆除の工法は、大きく2つに分かれます。どちらが優れているかという議論には結論が出ておらず、正しい問いは「自分の家の条件でどちらが適合するか」です。
バリア工法|薬剤で防御層を作る
床下の土壌に薬剤を散布し、土台・大引・束などの木部に薬剤を吹き付け、必要に応じて木材に穴を開けて内部に注入する工法です。建物の周囲と床下に薬剤の層(バリア)を作り、シロアリの侵入と生息を物理的に妨げます。日本で行われているシロアリ工事の主流はこの方法であり、相場として語られる坪単価6,000〜10,000円もバリア工法の数字です。
利点は即効性と費用の安さ、そして5年程度の保証が付けやすいことです。一方で欠点もはっきりしています。床下に人が入れる高さがなければ施工できません。薬剤の臭気が数日残ることがあり、化学物質に敏感な方や小さな子ども、ペットがいる家庭では慎重な判断が必要です。また効果は薬剤の有効期間に依存するため、おおむね5年ごとの再施工が前提になります。
ベイト工法|巣ごと減らす
建物の周囲の地面に、シロアリが好む餌に成長阻害剤を混ぜたベイト剤(毒餌)を仕込んだ容器を埋設する工法です。働きアリが餌を巣に持ち帰り、コロニー全体に成分が広がることで巣そのものを衰退させます。薬剤を床下に散布しないため臭気がほとんどなく、床下が狭い建物やコンクリート基礎で潜れない建物でも施工できます。
ただし効果が出るまでに数か月かかるため、すでに食害が進行していて急いで止めたい状況には向きません。またベイト剤は定期的な交換と点検が必要で、年ごとに管理費用が発生します。30坪住宅で20万〜35万円という金額は初年度の設置費用であり、継続費用を含めた総額はバリア工法より高くなることが一般的です。
条件別・どちらを選ぶかの判断表
| あなたの状況 | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| 床下に潜れる一般的な木造戸建て・被害あり | バリア工法 | 即効性があり費用も抑えられる。相場の標準ケース |
| 床下が狭い/ベタ基礎で進入できない | ベイト工法 | 物理的にバリア工法の施工が不可能 |
| 乳幼児・妊娠中・ペット・化学物質過敏症 | ベイト工法 | 室内への薬剤拡散リスクを避けられる |
| すでに土台が食われ急いで止めたい | バリア工法 | ベイトは効果発現に数か月かかる |
| イエシロアリの巣が疑われる | 併用を検討 | 巣が大きく、床下処理単独では届かないことがある |
| アメリカカンザイシロアリ | どちらも単独では不適 | 被害材交換・注入・燻蒸など別体系の対処が必要 |
シロアリ駆除の流れを5ステップで解説
実際に依頼するとどう進むのか。バリア工法を前提とした標準的な流れが以下の5段階です。初回の問い合わせから工事完了まで、最短で1〜2週間、一般的には2〜4週間程度を見ておくと予定が立てやすくなります。
電話またはWebフォームから床下診断を申し込みます。このとき「羽アリを見た日付」「見た場所」「床の沈みの有無」「前回のシロアリ工事の時期」を伝えられると、当日の調査が的確になります。写真があれば保存しておいてください。
調査員が床下収納や和室の畳下などから床下に進入し、土台・大引・束・配管まわりを目視で確認します。所要時間は住宅の規模によりますが1時間程度が一般的です。蟻道の有無、食害の位置、床下の湿度、換気状況が記録されます。診断を無料で行う業者もあり、費用をかけずに現状を把握できます。
床下の写真や動画を見ながら、被害の有無と範囲、推奨する工法、施工面積、金額、保証内容の説明を受けます。ここが意思決定の分岐点です。その場で契約を急かされた場合は、いったん保留にして構いません。訪問販売に該当する契約であれば、契約書面の受領日から8日間のクーリング・オフが原則として適用されます。
30坪程度の住宅なら、作業は半日から1日で完了することが多いです。床下の土壌処理、木部への吹き付けと穿孔注入、玄関・浴室・勝手口まわりの処理が行われます。当日は在宅が必要で、床下収納の中身を出し、和室の家具を移動しておくと作業がスムーズです。処理後は数日間、換気を心がけてください。
施工後に保証書が発行されます。保証年数は5年が業界の標準的な水準で、期間中は年1回程度の定期点検が行われる契約が多いです。保証書は売却時の説明資料としても使えるため、紛失しないよう保管してください。保証期間が切れる前に再施工の案内が来るのが通常の流れです。
費用が上下する5つの要素|同じ坪数でも金額が変わる理由
相場表を見て見積もりを取ったとき、提示額が表と合わないことがあります。それは業者が不当なのではなく、以下の5つの要素が金額に反映されているためです。逆に言えば、この5つを把握していれば見積額の妥当性を自分で検証できます。
要素①施工面積と②床下の作業環境
基本となるのは1階の床面積です。ただし面積が同じでも、床下の高さが30cmある家と45cmある家では作業効率がまったく違います。ほふく前進でしか移動できない現場、配管が密に走っていて通れない区画がある現場では、工数が増えるため単価が上がります。また床下点検口がない住宅では、点検口の新設費用が数万円加算されることがあります。
要素③被害の進行度と④薬剤のグレード
予防か駆除かで作業量が変わるのは前述のとおりです。加えて、食害箇所への集中処理や部分的な木部補修が必要になれば、その分が加算されます。薬剤については、効果の持続年数や安全性の設計が異なる複数のグレードが存在し、上位の薬剤を選べば単価は上がります。ここは「安い薬剤を避けるべき」という話ではなく、提案された薬剤の名称と選定理由を説明してもらうべきという話です。
要素⑤追加工事の必要性
床下の湿気が根本原因になっている場合、駆除と同時に床下換気扇や調湿材の設置を提案されることがあります。これは理屈としては妥当な提案ですが、金額のインパクトが大きい項目です。換気扇は1台3万〜8万円、調湿材は施工面積に応じて別途かかります。緊急性は駆除そのものより低いことが多いため、駆除と追加工事は分けて見積もりを出してもらい、追加工事は後日でも間に合うかを確認してください。同じ「住まいのメンテナンス見積もり」の考え方は、ハウスクリーニング業者の料金比較で追加オプションの扱いを確認する場合と共通しています。
2〜3社から見積もりを取り、㎡単価に換算して並べるのが最短の比較方法です。総額は施工面積の取り方で変わるため比較になりませんが、㎡単価なら横並びになります。そのうえで「処理範囲」と「保証年数」を条件として揃えれば、どこが割高でどこが割安かが数字で見えます。
シロアリ駆除業者の選び方7つのポイント
シロアリ工事の品質は、施工が終わった時点では判定できません。効果が出たかどうかは数年後にしかわからず、そのころには業者が存在しない可能性もあります。だからこそ、選ぶ段階で確認できる項目に集中すべきです。
ポイント①〜③|会社の実在性と継続性
- ①保証期間が5年あるか、保証書が書面で出るか— 薬剤の効果期間がおおむね5年であることから、5年保証が業界の標準的な水準です。これを下回る保証の場合は理由を確認してください。加えて、保証書が紙で発行されるかどうかが決定的に重要です。口頭の「何かあれば言ってください」には法的な意味がありません。
- ②5年後も存在している会社か— 保証は会社が存続していて初めて機能します。設立年、施工実績の累計、決算情報の公開状況を確認してください。上場企業や、地域で数十年営業している会社は、この点で有利です。
- ③しろあり防除施工士などの資格保有者が在籍しているか— 公益社団法人日本しろあり対策協会が認定する「しろあり防除施工士」は、シロアリ防除の実務資格です。資格の有無が施工品質を完全に保証するわけではありませんが、業界の標準仕様を学んでいる人が在籍しているかどうかの目安になります。
ポイント④〜⑦|提案と説明の質
- ④床下の写真・動画を見せて説明するか— 床下は施主が自分で確認できない場所です。だからこそ、記録を見せて説明する姿勢があるかどうかが、そのまま信頼性の指標になります。「見ましたが被害がありました」だけで金額を提示する業者は避けてください。
- ⑤見積書に使用薬剤名と施工面積が明記されているか— 前述の4項目(面積・薬剤名・処理範囲・保証)が記載されているかを確認します。
- ⑥相見積もりを歓迎するか— 「他社と比べられると困る」という態度を示す業者は、価格または内容に説明できない部分があります。逆に、他社見積もりを見て違いを説明できる業者は、自社の内容に根拠を持っています。
- ⑦シロアリ以外の工事を強く勧めてこないか— 床下換気扇、耐震補強、外壁塗装、屋根工事などをセットで提案し、総額を膨らませる流れは典型的なパターンです。必要な提案かどうかは、緊急性と根拠を分けて聞けば判断できます。
なお、害虫と害獣は別分野であり、対応する業者も異なります。天井裏の物音やフンが気になるという相談は、シロアリ業者ではなく害獣専門の業者が対象です。こちらは害獣駆除業者の評判と料金比較で業者の選び方を整理しているので、あわせて確認してください。
診断結果と見積もりを見てから、工事するかどうかを決められます
悪質業者の手口と、その場で見抜く質問
シロアリ工事は、施主が施工品質を確認できない構造にあります。この情報の非対称性を利用した手口が、残念ながら存在します。以下は各地の消費生活センターや業界団体が繰り返し注意喚起している代表的なパターンです。
手口①無料点検からの即日契約
「近所で工事をしているので無料で点検します」と訪問し、床下を見たあとに「土台が危険な状態です。今日契約すれば割引します」と即日契約を求める流れです。判断材料を与えず、時間的圧力で決断を迫るのが特徴です。無料点検そのものは正当なサービスであり、大手も実施しています。問題は点検が無料であることと、その場で契約を求めることが結びついている場合です。
この場面で有効な一言があります。「見積書をいただいて、他社と比較してから決めます」。これだけで態度が変わる相手であれば、その時点で判断がつきます。なお訪問販売に該当する契約なら、契約書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフが原則として可能です。すでに契約してしまった場合でも、期間内であれば書面での解除を検討してください。
手口②持ち込んだシロアリを見せる
床下から出てきた作業員が、袋に入れたシロアリや食害された木片を見せて契約を急がせるケースです。これが自宅の床下から採取されたものかどうかを、施主が検証する手段はありません。有効な確認方法は1つだけです。「それが見つかった場所を、写真か動画で位置がわかる形で見せてください」と求めることです。床下の全体像から被害箇所へつながる映像を出せない場合、その証拠は根拠として扱えません。
手口③点検後に不安を増幅させる説明
「このままだと地震で倒れます」「来年には床が抜けます」といった断定的な予測で不安を煽るパターンです。実際にシロアリ被害が耐震性を損なうのは事実ですが、どの程度の被害でどの程度の影響が出るかは、被害範囲の実測なしには言えません。断定的な将来予測を語る一方で、被害範囲の面積や箇所数を数字で示せない場合、その説明は診断ではなくセールストークです。
①「被害があった箇所を、床下全体の中でどこかわかる形で撮った映像を見せてください」②「使用する薬剤の商品名と、保証年数を書面に書いてください」③「見積書をもらって、他社と比較してから返事をします」。この3つに誠実に答える業者だけを候補に残してください。3つとも通れば、価格が相場より多少高くても検討に値します。
DIYでできる範囲とできない範囲|市販薬剤の限界
ホームセンターやネット通販では、シロアリ用の薬剤や施工キットが数千円から2万円程度で販売されています。20万円の工事費と比べれば魅力的に見えます。ここでは「やめたほうがいい」と結論だけを言うのではなく、どこまでが自分でできてどこからが無理なのかを分けて整理します。
DIYと業者依頼の比較表
| 比較項目 | DIY(市販薬剤) | 業者依頼(バリア工法) |
|---|---|---|
| 費用 | 3,000円〜2万円程度 | 15万〜30万円 |
| 施工範囲 | 手の届く範囲のみ。床下全域は困難 | 床下全域+玄関・浴室・勝手口 |
| 木部への穿孔注入 | 実質不可(構造材への穴あけリスク) | 専用器具で実施 |
| 種類の判定 | できない(工法選択を誤る) | 現地で同定 |
| 保証 | なし。再発しても自己負担 | 5年保証が標準的な水準 |
| 作業の安全性 | 狭所での薬剤散布。吸入・ダニ・釘による受傷リスク | 防護具と手順が確立 |
| 売却時の資料 | 残らない | 施工証明・保証書が資料になる |
| 失敗した場合 | 薬剤で逃げたシロアリが被害範囲を拡大 | 保証範囲内で再施工 |
DIYで意味があること
自分でやる価値があるのは、駆除ではなく侵入条件を減らす作業です。これは業者に頼むより自分でやったほうが早く、費用もかかりません。
- 庭の切り株、木杭、廃材、野積みの段ボールを撤去する(シロアリの餌と中継地点になります)
- 基礎の換気口の前に置かれた物をどかし、通気を確保する
- 雨樋の詰まりを直し、基礎まわりに水が溜まらないようにする
- エアコン室外機のドレン水が基礎際に流れ込んでいないか確認する
- 床下収納から床下をのぞき、蟻道の有無と湿り具合を目視で確認して写真を残す
迷わず業者に任せるべき4つのケース
次のいずれかに当てはまる場合、DIYでの対応は費用の節約になりません。被害の拡大と再施工で、結果として支出が増えます。
- 羽アリを室内で見た— コロニーが成熟しています。範囲の特定が必須です。
- 蟻道を見つけた— 侵入経路が確立しています。経路の遮断には床下全域の処理が必要です。
- 床が沈む・柱が空洞音を出す— 構造材が食害されています。駆除に加えて補修の判断が必要です。
- 砂粒状の糞が落ちている— アメリカカンザイシロアリの可能性があり、市販の床下用薬剤では原理的に届きません。
まず無料の床下診断で現状を確認する|アサンテという選択肢
ここまで読んで、それでも決めきれない理由があるとすれば「そもそも自分の家にシロアリがいるのかわからない」という点でしょう。15万〜30万円という金額は、被害の有無がわからないまま払う金額としては大きすぎます。そこで実務的な順序として、工事を決める前に床下の状態だけを確認するという選択が取れます。
アサンテの床下診断でわかること
株式会社アサンテは東証プライム上場のシロアリ防除専門会社です。公式サイトで確認できる範囲では、累計60万軒以上の施工実績があり、対応エリアは東北から九州までの広域に及びます。床下診断と見積もりは無料で、調査の所要時間は1時間程度とされています。
診断で確認されるのは次の点です。シロアリが現に生息しているかどうか、食害の有無と位置、床下の湿度と換気状態、そして今シロアリ対策が必要な段階なのかどうか。つまりこの記事で説明してきた判断材料のうち、自分では確認できない部分が診断で埋まります。被害がなければ「今は不要」という結論が得られ、あれば範囲と金額が数字で出てきます。どちらの結果でも、判断の材料としては得るものがあります。
保証については、公式サイトでシロアリ防除に5年保証が示されており、保証期間中は年1回の定期点検が実施されるとされています。5年という期間は本記事で述べた業界の標準的な水準と一致します。なお施工単価については公式サイト上で公表されていないため、金額は現地診断後の見積書で確認する必要があります。この記事の相場表と見積書を照らし合わせれば、提示額が妥当な範囲にあるかどうかは自分で判断できます。
- 羽アリや床の沈みなど気になる兆候はあるが、被害の有無を確認できていない人
- 前回の工事から5年前後が経過し、再施工の必要性を判断したい人
- 5年後も存続している会社の保証を重視したい人(上場企業であることを確認材料にできます)
- 自分で床下に入るのが難しい高齢世帯・単身世帯
- 相見積もりの1社目として、実績のある会社の金額を基準値にしたい人
対応エリアは東北から九州までとされているため、北海道や沖縄など対応外の地域にお住まいの方は、地域の専門業者を探す必要があります。また、砂粒状の糞や乾材への被害が見られアメリカカンザイシロアリが疑われるケース、賃貸住宅で所有者の許可を得ていないケース、すでに他社と契約済みで工事日が決まっているケースでは、まず前提条件の整理が先です。分譲マンションの専有部については、床下構造が戸建てと異なるため管理規約と管理会社への確認が必要になります。
診断・見積もり無料/所要1時間程度/結果を見てから工事の判断ができます
シロアリ駆除の費用を抑える4つの方法(雑損控除を含む)
最後に、支払総額を実際に下げられる方法を4つ挙げます。値切り交渉ではなく、制度と手順を使う方法です。
方法①2〜3社の相見積もりを㎡単価で比較する
もっとも効果が大きく、もっとも手間がかからない方法です。総額ではなく㎡単価に換算し、処理範囲と保証年数を揃えて比較します。3社を超えると日程調整の負担が増え、判断も鈍るため、2〜3社が実務上の適量です。1社目に実績のある会社を入れて基準値を作ると、2社目以降の判断が速くなります。
方法②駆除費用を確定申告の雑損控除で申告する
これは知られていないために使われていない制度です。国税庁の質疑応答事例では、シロアリによる被害は所得税法施行令第9条に規定する「害虫その他の生物による異常な災害」に該当するとされ、修繕に要した費用およびシロアリを駆除するための費用は雑損控除の対象になると示されています。
ただし条件があります。被害を事前に防止するための費用、および駆除とともに行う予防のための費用は対象になりません。被害がない状態で予防薬剤を散布した費用は控除対象外であり、駆除と予防を同時に行った場合は駆除部分の費用のみが申告対象になります。したがって実務上の要点は1つです。見積書と領収書で「駆除」と「予防」の金額を分けて記載してもらうことです。一体の金額になっていると、駆除部分を切り出せず申告が難しくなります。
シロアリ駆除費用および修繕工事の領収書(駆除と予防が区分されているもの)、給与所得者の場合は源泉徴収票が基本です。控除額の計算方法や自身のケースの該当性については、税務署または税理士に確認してください。本記事は制度の存在をお伝えするものであり、個別の税務判断を行うものではありません。
方法③繁忙期を外して依頼する
羽アリが飛ぶ4〜7月は、シロアリ業者の最繁忙期です。この時期は予約が取りにくく、日程の選択肢も狭まります。すでに被害が進行している場合に待つのは本末転倒ですが、予防目的で時期を選べる状況なら、秋から冬にかけての閑散期のほうが日程調整が柔軟になり、キャンペーンが実施されることもあります。逆に言えば、「今すぐやらないと危険」と言われて繁忙期に即決するのが、もっとも条件の悪い買い方です。
方法④5年周期を守って被害を発生させない
長期で見た場合の総支出を最小化する方法がこれです。薬剤の効果期間がおおむね5年であることから、5年ごとの再施工が目安とされています。予防工事は8万〜25万円で、駆除工事より安く、木部補修が発生しません。一方で被害を出してからの対応は、駆除費に加えて補修費が乗ります。5年ごとに予防を続ける支出と、20年放置して1回の大規模補修を受ける支出を比べると、多くのケースで前者のほうが安く済みます。
シロアリ駆除に関するよくある質問(FAQ)
まとめ|今日やるべきことは1つだけ
シロアリ駆除の費用は、30坪の戸建てでバリア工法なら15万〜30万円が中心的な価格帯です。坪単価6,000〜10,000円という相場の知識は、自宅の1階床面積と組み合わせて初めて使える道具になります。そして見積もりを比較する際の軸は総額ではなく、㎡単価・処理範囲・保証年数の3点です。
ただし、この記事で一番お伝えしたかったのは金額の話ではありません。費用を最終的に決めるのは単価ではなく、どの段階で床下を見たかだという点です。駆除だけで済む段階の費用は一定ですが、土台の交換が必要になった段階からは、大工工事が主要な支出になります。1年の先延ばしで節約できるのは駆除費の利息分だけで、増えるのは補修費と耐震性の損失、そして売却時の減額です。
この記事の要点
- 30坪の戸建てでバリア工法なら総額15万〜30万円。坪単価6,000〜10,000円、㎡単価1,800〜2,500円が相場
- 施工面積は延床面積ではなく1階の床面積。見積書ではこの数字を必ず確認する
- 比較は総額ではなく㎡単価・処理範囲・保証年数の3軸で行う(5年保証が業界の標準的な水準)
- シロアリは3種類。アメリカカンザイシロアリには床下処理が原理的に効かない
- シロアリ被害は火災保険ではまず補償されない。一方で駆除費用は雑損控除の対象になり得る(予防費用は対象外)
- DIYで意味があるのは駆除ではなく、廃材撤去・通気確保といった侵入条件を減らす作業
- 費用を左右する最大の要因は単価ではなく、床下を見るタイミング
だから、今日やるべきことを1つに絞ります。工事を決めるのではなく、床下の状態を確認することです。床下診断と見積もりを無料で行っている会社があるため、被害の有無を知るために費用をかける必要はありません。診断の結果「今は不要」であればそれが答えであり、被害があれば範囲と金額が数字で出てきます。判断材料が手元にない状態で悩み続けるのが、いちばん高くつく選択です。
東証プライム上場・累計施工60万軒以上/診断・見積もり無料/東北〜九州対応
参考にした情報源(2026年9月時点で確認)
・株式会社アサンテ公式サイト(シロアリ防除・保証とアフターサービス・コラム)
・国税庁 質疑応答事例「シロアリの駆除費用」
・建築基準法施行令 第49条第2項(e-Gov 法令検索)
・公益社団法人日本しろあり対策協会 防除施工標準仕様書
・シロアリ駆除費用相場に関する複数業者・比較メディアの公表価格(2026年時点)
※費用の目安は複数の公開情報を横断して整理したものです。実際の金額は床下の状況・地域・業者により変動します。契約前に必ず現地調査にもとづく見積書をご確認ください。
シロアリ駆除業者を選ぶ際は、生活サービス全般の口コミを参考にしましょう。フレシャスの評判、エブリィフレシャスの口コミ、カラリアのサービス比較なども参考にしてください。











