
本記事にはアフィリエイト広告が含まれる場合があります。ただしクラウドサインについては現時点で提携中の広告プログラムがないため、本記事内のクラウドサインへのリンクはすべて公式サイトへの通常リンクです。掲載している料金は2026年9月時点でクラウドサイン公式の料金ページ(cloudsign.jp/price)を確認した金額です。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
契約書を2部印刷し、製本テープを貼り、袋とじの上から契印を押す。収入印紙を貼って消印を入れ、送付状を添えて封筒へ。返信用の封筒と切手も忘れずに同封して、火曜の夕方にポストへ投函する。金曜日に先方から「押印は来週の決裁会議のあとになります」とメールが届き、2部のうち1部が戻ってきたのは、さらに翌週の水曜日だった。実質の作業時間は30分でも、締結までに9日かかっている。
この9日間、案件は止まっている。着手日がずれ、請求も翌月にずれ込む。1件ならまだいい。しかし月に20件、30件と積み上がると、止まっている日数の合計は誰も数えていないコストになる。加えて、製本・押印・投函・returnの追跡にかかる担当者の時間、切手代、収入印紙代、そしてキャビネットのスペース。どれも単体では小さく、合算すると無視できない金額に化ける。
先に結論を書く。クラウドサインの料金は「月額固定費」と「送信1件ごとの従量課金」の二層構造で、月額プランの中に送信件数は一切含まれていない。ライトは月額11,000円(税抜)/12,100円(税込)、コーポレートは月額28,000円(税抜)/30,800円(税込)。これに加えて、送信するたびに1件200円(税抜)/220円(税込)がかかる。まずは無料のFreeプランで自社と取引先の運用に乗るかを確かめ、社内の管理要件が固まった段階で有料プランへ上げる——これが失敗しにくい進め方だ。
この記事でわかること
- クラウドサインの正確な料金(税抜・税込を両方併記/2026年9月時点の公式ページ実測)
- 「月額プランに送信件数が含まれる」という広く出回っている誤解の中身
- 月5件・10件・30件・50件・100件を送った場合の実際の月額を、計算式つきで算出した表
- ライトとコーポレートの損益分岐点が「料金上は存在しない」理由
- 月額固定費と送信費用の主役が入れ替わる件数(ライト55件・コーポレート140件)
- 書類保管の無料枠10,000書類を、自社は何年で使い切るのか
- デメリット・注意点5つと、向いていない会社の具体的な条件
- 解約・プラン変更で事前に公式へ確認しておくべき項目
- 結論:クラウドサインの料金は「月額固定+送信1件220円」の二層構造
- クラウドサインとは|弁護士ドットコムが運営する立会人型の電子契約サービス
- クラウドサインの料金プラン全3種|税抜・税込の正確な金額
- 【計算式つき】送信件数別・月額コスト試算表
- 無料プラン(Free)でどこまでできるのか
- 紙の契約とクラウドサインを比べる|コスト・時間・手戻り
- クラウドサインの評判|良い評価として挙がりやすい点
- クラウドサインのデメリット・注意点5つ
- 向いている会社・向いていない会社
- 他の電子契約サービスとどう比べるか|金額ではなく仕組みで見る
- 導入から解約まで|申込み手順・プラン変更・契約条件
- 電子契約の法的な扱いと、電子帳簿保存法まわりの注意
- クラウドサインの料金・評判に関するよくある質問
- まとめ|クラウドサインを選ぶかどうかの最終判断
- 比較サイトで見たクラウドサインの料金が、サイトごとに違っていて混乱している人
- 稟議書に載せる年間コストを出さなければならず、根拠のある数字が必要な担当者
- 「月100件まで込み」という記述を信じてプランを検討していた人
- 紙の契約をやめたいが、取引先の反応が読めず踏み切れていない中小企業の総務・法務
- フリーランス・個人事業主で、業務委託契約の往復に毎回1週間以上かけている人
結論:クラウドサインの料金は「月額固定+送信1件220円」の二層構造
料金の全体像を一文で言うと
クラウドサインの費用は、毎月必ず出ていく月額固定費と、契約書を1通送るたびに発生する送信費用の合計で決まる。この2つは完全に別勘定で、月額プランを契約したからといって送信が何件か無料になる、という仕組みにはなっていない。
2026年9月時点で公式の料金ページに掲載されている金額は、Free(フリー)が0円、Light(ライト)が月額11,000円(税抜)/12,100円(税込)、Corporate(コーポレート)が月額28,000円(税抜)/30,800円(税込)。そして送信費用が1件あたり200円(税抜)/220円(税込)。この4つの数字さえ押さえれば、自社のコストは電卓1つで出せる。
つまり計算式はこうなる。月額コスト = プランの月額固定費 + 月間送信件数 × 220円(税込)。たとえばライトで月に10件送るなら、12,100円+10件×220円=14,300円(税込)。難しい話は何もない。難しくしているのは、料金体系を誤って説明している情報のほうだ。
結局どちらのプランを選ぶべきか
先に判断の答えを出しておく。送信件数でプランを選んではいけない。理由は単純で、送信の単価はライトでもコーポレートでも同じ220円(税込)だからだ。件数が何件に増えようが、コーポレートの月額がライトより安くなる瞬間は訪れない。両者の差額は毎月きっかり18,700円(税込)/17,000円(税抜)で固定されたままになる。
したがってプラン選びの軸は、件数ではなく「どの管理機能を必要としているか」「何人で使うか」になる。ユーザー管理や権限設定、外部システム連携といった上位機能を業務上どうしても使うなら、月18,700円の差額を払う価値があるかどうかを検討する。使わないなら、何件送ろうとライトのままでいい。この一点を押さえるだけで、多くの企業はプラン選定の議論を数時間短縮できる。
そして最初の一歩は有料プランではない。まずは0円のFreeプランで、自社の書類が実際に通るか、取引先の担当者が迷わず署名できるかを試す。ここでつまずく会社は一定数あり、その場合は有料プランを契約しても同じところで止まる。クラウドサインを実際に触った操作レビューでは画面の流れを手順単位で追っているので、申込み前に全体像をつかんでおきたい場合はそちらも合わせて読んでほしい。
クラウドサイン公式の料金ページで最新の金額を確認するこの記事で訂正した、広く出回っている料金の誤り
正直に書いておくと、当サイトの本記事も以前のバージョンでは料金を誤って記載していた。公式の料金ページを1項目ずつ突き合わせて確認し、次の3点を訂正している。同じ誤りは他の比較記事でも見かけるため、どこで間違えやすいのかを共有しておきたい。
誤り①:コーポレートは月額33,000円(税込)
→ 正しくは月額28,000円(税抜)/30,800円(税込)。税込で2,200円、年間で26,400円ずれる。
誤り②:ライトは月50件、コーポレートは月100件の送信が含まれる
→ 送信件数はどのプランにも含まれていない。送信は常に1件220円(税込)が別途発生する。「◯件まで込み」という前提そのものが存在しない。
誤り③:上記を根拠にした「月17万円以上のコスト削減」試算
→ 前提が崩れているため、試算そのものを削除した。本記事では代わりに、正しい料金で組み直した件数別の試算表を第4章に掲載している。
なぜこの誤解が広まるのか。おそらく「月額◯円で◯件まで」という、SaaSでは一般的なバンドル型の料金体系を無意識に当てはめてしまうからだろう。しかしクラウドサインはその型ではない。ここを取り違えたまま稟議を通すと、想定より送信費用が丸ごと上乗せされることになる。月30件なら年間で79,200円(30件×220円×12か月)の差だ。

クラウドサインとは|弁護士ドットコムが運営する立会人型の電子契約サービス
運営会社とサービスの位置づけ
クラウドサインは、弁護士ドットコム株式会社が提供する電子契約サービスだ。ブラウザ上でPDFの契約書に署名欄を配置し、相手方のメールアドレス宛に送信すると、相手はメール内のリンクから内容を確認して同意ボタンを押すだけで締結が完了する。専用ソフトのインストールは送信側にも受信側にも不要で、スマートフォンのブラウザからでも操作できる。
締結が完了した書類はクラウド上に保管され、取引先名や書類名で検索できる。紙のようにキャビネットを探し回る必要がなく、誰が・いつ・どの書類に同意したかの履歴も残る。ここまでは電子契約サービス全般に共通する機能だが、日本語UIと国内の商慣習への合わせ込みという点で、国内企業には扱いやすい部類に入る。
なお、導入社数やシェアといった数値については、本記事では扱わない。公表値の集計方法や基準日が確認できないまま引用すると、読者の判断材料として機能しないからだ。自社の稟議に「導入実績」を載せる必要がある場合は、公式サイトの導入事例ページから、自社と業種・規模が近い企業の事例を直接確認するほうが説得力が出る。
「立会人型」とは何か。当事者型との違い
電子契約サービスは、署名の付け方によって大きく2つに分けられる。1つが当事者型(当事者署名型)で、契約する本人が電子証明書を取得し、その本人名義の電子署名を付与する方式。もう1つが立会人型(事業者署名型)で、サービス事業者が本人確認(多くはメールアドレスの到達確認)を行ったうえで、事業者名義の署名を付与する方式だ。クラウドサインは後者の立会人型にあたる。
立会人型の利点は、導入の軽さに尽きる。相手方が電子証明書を取得する必要がなく、アカウント登録すら不要なので、取引先に負担をかけずに始められる。これが「送ったその日に締結が終わる」を可能にしている実質的な理由だ。一方で、本人性の担保の強さという観点では当事者型のほうが厚いと整理されることがあり、契約の重要度によって使い分けを検討する企業もある。
電子署名法・電子帳簿保存法の要件解釈や、個別の契約類型で立会人型が適切かどうかの判断は、契約の内容・金額・相手方によって変わる。本記事は法律解釈を提供するものではない。重要な契約や、社内規程として電子契約を制度化する場合は、必ず顧問弁護士・法務部門に確認したうえで運用を決めてほしい。
受信者側の負担がほぼゼロであることの実務的な意味
電子契約の導入で最初に立ちはだかる壁は、自社側の設定ではなく取引先の反応だ。「うちは電子契約に対応していません」と返ってくると、そこで止まる。この点、受信者がアカウントを作らずに署名できる方式は、説明のハードルを大きく下げる。相手に伝えるべきことが「メールが届くのでリンクを開いて内容を確認し、問題なければ同意を押してください」の一文で済むからだ。
ただし、負担がゼロであることと、相手が納得することは別の問題である。後述するデメリットの章で詳しく扱うが、取引先の社内規程で押印が義務づけられているケース、あるいは担当者個人が電子契約に不安を持っているケースは実際に存在する。技術的に簡単であっても、組織の意思決定は別の速度で動く。
クラウドサインの料金プラン全3種|税抜・税込の正確な金額
全プラン料金表(2026年9月時点・公式料金ページ確認)
まず、月額固定費だけを並べた表を見てほしい。税抜と税込を両方の列で出している。稟議書に税抜で書くか税込で書くかは会社によって違うため、そのまま転記できるようにしてある。この表の金額に送信費用は含まれていない。そこが最重要なので、表の中にも明記した。
| プラン | 月額(税抜) | 月額(税込) | 送信費用 | 想定される使い方 |
|---|---|---|---|---|
| Free(フリー) | 0円 | 0円 | 利用条件は公式要確認 | 操作感と取引先の反応を確かめる試用 |
| Light(ライト) | 11,000円 | 12,100円 | 別途 1件200円(税抜)/220円(税込) | 少人数で運用する中小企業・個人事業主 |
| Corporate(コーポレート) | 28,000円 | 30,800円 | 別途 1件200円(税抜)/220円(税込) | 複数部署・複数ユーザーでの管理が必要な企業 |
| ※重要:月額固定費に送信件数は一切含まれない。送信するたびに1件220円(税込)が加算される。 | ||||
Freeプランについては、0円であることは公式に明示されているものの、無料で送信できる件数や利用できる機能の範囲については、本記事執筆時点で確認できた一次情報の範囲を超えるため数値を書かない。件数制限の有無は導入判断に直結するので、申込み前に公式サイトで必ず自分の目で確認してほしい。ここで推測値を書くのは、読者に対して誠実ではない。
送信費用1件220円がどこで発生するか
送信費用は「契約書を1通、相手方に送る」という行為に対して発生する。ここで実務上の注意が2つある。1つは、相手方が複数人いる場合の数え方。もう1つは、送信後に内容を修正して再送する場合の扱いだ。どちらも運用のやり方によって月間の件数が変わってくるため、自社の契約パターンに当てはめて公式に確認しておく価値がある。
なぜここにこだわるのか。1件220円は一見すると小さいが、線形に積み上がるからだ。月30件なら6,600円、月100件なら22,000円が毎月上乗せされる。年間では月100件のケースで264,000円になる。月額固定費のほうばかり比較して送信費用を計算に入れていないと、稟議に出した数字が実績と乖離する。
1通の契約書が10ページあっても、送信は1件。逆に、同じ内容の契約書を10社に個別に送れば10件になる。自社の月間件数を見積もるときは、書類の枚数ではなく「宛先ごとの送信回数」を数えること。過去3〜6か月に締結した契約の通数を数えるのが最も確実で、経理の郵送記録や契約書ファイルの追加数から逆算できる。
書類保管のコスト|10,000書類の無料枠は何年もつのか
見落とされがちな第3の費用が、書類保管だ。クラウドサインでは10,000書類までは無料で保管でき、それを超えると10,000書類ごとに月額10,000円(税込11,000円)が発生する。電子契約は「保管コストがゼロ」と語られることが多いが、正確には「一定量までは無料」である。
では自社は何年で10,000書類に到達するのか。月間送信件数から単純計算できる。月N件なら年12N件なので、10,000 ÷ 12N 年が目安になる。実際に主な件数で割ってみると、次のようになる。
| 月間送信件数 | 年間の書類増加数 | 10,000書類に到達するまで | 超過後の追加費用(税込) |
|---|---|---|---|
| 月10件 | 120件 | 約83年 | 実質的に発生しない |
| 月30件 | 360件 | 約27.8年 | 実質的に発生しない |
| 月50件 | 600件 | 約16.7年 | 到達は考えにくい |
| 月100件 | 1,200件 | 約8.3年 | 月11,000円/10,000書類ごと |
| 月200件 | 2,400件 | 約4.2年 | 月11,000円/10,000書類ごと |
この表から読み取れることは明確だ。月50件以下の事業者にとって、保管コストは検討項目にすら入らない。10,000書類に達する前に事業のほうが形を変えているだろう。一方で月100件を超える規模になると、8年前後で保管の追加費用が視野に入ってくる。長期の予算計画を立てる企業は、この項目を年次の増加分として織り込んでおくといい。
「月額◯円で◯件込み」という説明を見たときの確認方法
比較記事でクラウドサインの料金を見るときは、その記事が「送信費用」の行を持っているかを最初に確認してほしい。送信費用に触れずに月額だけを並べている表は、この料金体系を把握していない可能性が高い。そして、料金は改定されうるものなので、最終判断は必ず公式の料金ページに当たること。
会計ソフトやバックオフィスSaaSの料金を比較するときも、同じ癖をつけておくと得をする。たとえば会計ソフトでは「年払い時の月額換算」を月払い価格と並べて表示している記事が多く、実際に月払いで契約すると金額が違う。freee・マネーフォワード・弥生の3社を料金軸で横並びにした比較記事では、月払いと年払いを分けた表にしてあるので、比較表の読み方の参考になるはずだ。
送信費用を含む最新の料金体系を公式サイトで確認する【計算式つき】送信件数別・月額コスト試算表
使う計算式はこれだけ
ここからがこの記事の本題だ。自社のコストを出すのに必要な式は1本しかない。
月額コスト(税込)= プランの月額固定費(税込) + 月間送信件数 × 220円
・Lightの場合:12,100円 + 件数 × 220円
・Corporateの場合:30,800円 + 件数 × 220円
税抜で計算する場合は、Light 11,000円/Corporate 28,000円に、件数×200円を足す。
この式に自社の件数を入れれば終わりだが、稟議に出すときは複数の件数パターンを並べたほうが通りやすい。「今は月10件だが、営業が増えれば30件になる」という見通しを、金額で示せるからだ。以下の表は月5件から100件までの5パターンについて、実際に式を展開した結果である。すべて検算済みで、途中の計算式も併記した。
送信件数別・月額コスト試算表(税込)
| 月間送信件数 | Light|計算式 | Light|月額(税込) | Corporate|計算式 | Corporate|月額(税込) | 差額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 月5件 | 12,100+5×220 | 13,200円 | 30,800+5×220 | 31,900円 | 18,700円 |
| 月10件 | 12,100+10×220 | 14,300円 | 30,800+10×220 | 33,000円 | 18,700円 |
| 月30件 | 12,100+30×220 | 18,700円 | 30,800+30×220 | 37,400円 | 18,700円 |
| 月50件 | 12,100+50×220 | 23,100円 | 30,800+50×220 | 41,800円 | 18,700円 |
| 月100件 | 12,100+100×220 | 34,100円 | 30,800+100×220 | 52,800円 | 18,700円 |
年額に直すと、Lightで月30件なら224,400円(18,700円×12か月)、Corporateで月30件なら448,800円(37,400円×12か月)。月100件までいくとLightで409,200円、Corporateで633,600円になる。予算取りの資料には、この年額のほうを載せるといい。月額だけだと規模感が伝わらない。
損益分岐点は「料金上は存在しない」という結論
上の表の一番右の列を見てほしい。差額が月5件でも月100件でも18,700円のまま、まったく動いていない。これが本記事で最も伝えたい事実だ。送信単価が両プランで同じである以上、件数がどれだけ増えてもコーポレートがライトより安くなる分岐点は発生しない。
この構造は、多くのSaaSと違う。一般的なSaaSは「上位プランのほうが1件あたりの単価が安い」ため、件数が増えると上位プランに乗り換えたほうが得になる分岐点が存在する。その感覚でクラウドサインを見ると、「月◯件を超えたらコーポレートに上げるべき」という存在しない判断基準を探してしまう。探しても見つからない。ないからだ。
金額では決まらないので、機能で決めるしかない。具体的には「ユーザーを何人登録する必要があるか」「部署ごとに閲覧権限を分ける必要があるか」「他システムとの連携を使うか」の3点。これらが不要なら、月100件送っていてもLightで問題ない。逆にこれらが業務上必須なら、月5件でもCorporateを選ぶことになる。どの機能がどのプランに含まれるかは料金表の機能比較欄に記載があるため、申込み前に必ず公式で突き合わせること。
コストの主役が入れ替わる件数|ライト55件・コーポレート140件
損益分岐点はないが、コスト構造が質的に変わる点はある。月額固定費と送信費用の大小が逆転する件数だ。これは固定費を単価220円で割れば出る。
Lightは 12,100 ÷ 220 = 55件。Corporateは 30,800 ÷ 220 = 140件。税抜で計算しても 11,000 ÷ 200 = 55件、28,000 ÷ 200 = 140件で、同じ数字になる。つまりLightで月55件を超えると、その月の請求は「月額料金より送信費用のほうが大きい」状態に切り替わる。
なぜこの数字が実務で効くのか。この点を超えた事業者にとって、コスト削減の打ち手が変わるからだ。55件未満なら、コストを下げる手段はプランの見直ししかない。しかし55件を超えたら、効くのは「不要な送信を減らすこと」になる。たとえば差し戻しによる再送、相手方が複数いる場合の送り方、少額・定型の合意を別の手段で処理するといった運用の見直しが、直接金額に効いてくる。
1件あたりの実質単価|件数が増えるほど220円に近づく
もう1つ、稟議で使いやすい数字を出しておく。月額総額を送信件数で割った「1件あたりの実質単価」だ。紙の契約1件あたりのコストと直接比較できるので、社内説明では最も伝わりやすい指標になる。
| 月間送信件数 | Light|1件あたり実質単価 | Corporate|1件あたり実質単価 | 読み取れること |
|---|---|---|---|
| 月5件 | 2,640円 | 6,380円 | 件数が少ないと固定費が重くのしかかる |
| 月10件 | 1,430円 | 3,300円 | Lightでも紙の契約と同水準かやや高い場合がある |
| 月30件 | 約623円 | 約1,247円 | Lightは紙より明確に安くなりやすい水準 |
| 月50件 | 462円 | 836円 | 固定費が十分に薄まってくる |
| 月100件 | 341円 | 528円 | 単価220円に漸近していく |
この表が示すのは、件数が少ないうちは有料プランの費用対効果が出にくいという当たり前で、しかしあまり書かれていない事実だ。月5件でCorporateを契約すると1件あたり6,380円になる。紙で送っていたときのコストが1件1,000円前後だったなら、電子化したことで単価は上がる。この場合に選ぶべきはFreeプランであって、上位プランではない。
逆に月30件以上を安定して送る会社なら、Lightの実質単価は623円まで下がる。ここまで来ると、印刷・製本・郵送・保管の実費と担当者の時間を合わせた紙のコストを、明確に下回る可能性が高い。ただし「紙のコストが1件いくらか」は会社によってまったく違うため、次章では自社で測る手順を書いた。
クラウドサイン公式サイトでプランごとの機能差を確認する無料プラン(Free)でどこまでできるのか
Freeプランの位置づけ
Freeプランは月額0円で使える。電子契約を初めて導入する会社にとって、ここから始めない理由はほとんどない。有料プランをいきなり契約して、取引先が対応してくれずに使わないまま月額を払い続ける——これが電子契約導入で最もよくある失敗だ。0円で試せる選択肢があるなら、まずそこを使うべきである。
重要なのは、Freeプランを「機能のお試し」ではなく「取引先の反応を測る実験」として使うこと。自社の担当者が操作できるかどうかは、正直あまり問題にならない。画面は分かりやすく、詰まる箇所は少ない。本当の変数は相手側にある。
Freeプランの制限について、書けることと書けないこと
ここは正直に線を引く。Freeプランで月に何件まで送信できるか、どの機能が使えてどれが使えないかについて、本記事では数値や機能名を書かない。公式の料金ページで金額(0円)は確認できたが、機能制限の詳細まで一次情報として確定できていないためだ。
他の記事では「月5件まで」といった具体的な数字を見かけることがある。しかしこの種の制限はサービス側の判断で変更されることがあり、古い情報が引き継がれて回っている可能性を否定できない。無料枠の件数は導入判断に直結する情報なので、推測で書くわけにいかない。申込み画面またはプラン比較表で、必ず自分の目で確認してほしい。
① 月間の送信可能件数に上限があるか、あるとすれば何件か
② 締結済み書類の保管期間・保管件数に制限があるか
③ 有料プランへ移行したとき、Freeで締結した書類はそのまま引き継がれるか
④ 登録できるユーザー数は何人までか
⑤ 送信できる書類のファイル形式・ファイルサイズの上限
この5つは、本運用に移った途端に効いてくる項目。試用のうちに公式サポートへ問い合わせて、回答をメールで残しておくと後々の社内説明が楽になる。
Freeプランで検証すべき3つのこと
無料期間を漫然と過ごすと、有料に上げる判断根拠が何も残らない。検証する項目を先に決めておこう。1つめは取引先の通過率。実際に5社から10社に送ってみて、何社が問題なく署名まで進んだか、何社が「紙でお願いします」と返してきたかを数える。ここで半数以上が紙を求めるようなら、電子契約の導入時期そのものを再考したほうがいい。
2つめは締結までの実日数。送信してから相手が同意を押すまでに何日かかったかを記録する。紙のときの平均日数と並べれば、そのまま導入効果の根拠になる。3つめは社内の承認フローとの整合性だ。誰が送信ボタンを押す権限を持つのか、送信前の社内チェックをどこで挟むのか。ここを決めずに本運用に入ると、統制の効かない状態で契約書が飛んでいくことになる。
この3点を数字とメモで残しておけば、有料プランへの稟議は驚くほど通りやすくなる。「便利そうだから」ではなく「10社中9社が3日以内に締結でき、平均6日短縮した」という事実で話せるからだ。
紙の契約とクラウドサインを比べる|コスト・時間・手戻り
比較表は「自社で測る」前提で作る
紙の契約と電子契約のコスト比較表は、どの比較記事にも載っている。しかしそこに書かれた「郵送費200円〜1,000円」「管理コスト100円〜500円」といった数字は、どこから来たものか分からないことが多い。自社の実態と合っているとは限らない。
そこで本記事では、金額を断定する代わりに「どの項目が発生し、自社ではいくらになるのかをどう測るか」を表にした。この表を埋めれば、自社固有の1件あたりコストが出る。それとクラウドサインの実質単価(第4章の表)を並べれば、稟議書の中核部分が完成する。
| コスト項目 | 紙の契約 | クラウドサイン | 自社での測り方 |
|---|---|---|---|
| サービス利用料 | 発生しない | 月額固定費+1件220円(税込) | 第4章の計算式に自社件数を入れる |
| 印刷・用紙・製本 | 発生する | 発生しない | 複合機のカウンター料金×枚数+製本テープ代 |
| 郵送費(往復) | 発生する | 発生しない | 郵便料金+返信用切手+封筒代。経理の切手購入額を件数で割る |
| 収入印紙 | 契約金額により異なる | 電子データのみで完結する場合は不要と整理されるのが一般的 | 国税庁の印紙税額一覧表で、自社の契約書の種類と記載金額から確認 |
| 担当者の作業時間 | 印刷・製本・押印・封入・投函・返送確認 | PDFアップロード・署名欄配置・送信 | 1件を実際にストップウォッチで計測し、時給換算する |
| 保管スペース | キャビネット・書庫の面積 | 10,000書類まで無料 | 契約書用キャビネットの占有面積 × 坪単価 |
| 締結までの日数 | 郵送往復を挟むため数日〜2週間程度になりやすい | 相手が対応すれば即日〜数日 | 直近20件の「送付日」と「返送到着日」の差を平均する |
印紙税額は契約書の種類と記載金額によって決まるため、「1件あたり◯円」と一律に言えるものではない。また、電子契約における印紙税の取り扱いは、運用の仕方(紙に出力して押印する工程を挟むかどうか等)によっても結論が変わりうる。自社の契約書について節税効果を金額で示す場合は、必ず顧問税理士に確認したうえで数字を出すこと。この記事の情報だけを根拠に判断しないでほしい。
見落とされやすいのは「手戻り」のコスト
コスト比較でほぼ必ず抜け落ちるのが、手戻りだ。紙の契約では、押印漏れ・訂正印の不備・製本のミス・宛先違いといった理由で、封筒が往復をもう1周することがある。1周増えるだけで、印刷からやり直して郵送費も倍になり、締結日は1週間以上後ろにずれる。
電子契約では、送信前に署名欄の配置を確認できるうえ、相手が同意していない状態が画面上で一目で分かる。「先方から返ってこないが、そもそも届いているのか」という問い合わせ自体が減る。この「確認のための連絡が減る」効果は金額に換算しにくいが、担当者の体感としては最も大きい変化として挙げられることが多い。
紙をやめられない書類があることも前提に置く
ただし、すべての契約を電子に寄せられるわけではない。法令で書面交付が求められている類型や、相手方の社内規程で押印が必須とされているケースは残る。導入前に、自社が扱う契約書を「電子化できるもの」「相手次第のもの」「紙のまま残すもの」の3つに仕分けておくと、想定件数の精度が上がる。
この仕分けを飛ばして「全契約書の件数」で予算を組むと、実際には半分しか電子化できず、月額に対して送信件数が伸びないという状態になる。1件あたり実質単価が想定より高止まりする原因は、たいていここにある。
クラウドサインの評判|良い評価として挙がりやすい点
評判の章に入る前に、書き方の方針を明示しておく。本記事では「利用者の◯%が満足」「レビュー平均◯点」といった数値は一切扱わない。集計元と母数を確認できない数値は、読者の判断材料にならないからだ。以下は公開情報のなかで繰り返し挙げられている論点を、傾向として整理したものと理解してほしい。
取引先に説明する手間が少ないという指摘
肯定的な評価として最も多く見られるのが、受信者側の負担の軽さに関するものだ。相手方がアカウント登録も証明書の取得も不要で、届いたメールのリンクを開いて同意するだけで完了する。導入する側にとって、これは「取引先に電子契約をお願いするときの説明が一言で済む」ことを意味する。
電子契約の導入が頓挫する理由の大半は、自社の技術的な問題ではなく取引先の合意形成にある。そのため、相手に求める操作が少ないこと自体が、導入成功率を左右する実質的な機能として働く。この点を評価する声が多いのは、実務的に理にかなっている。
締結までのリードタイムが短くなるという指摘
郵送の往復がなくなることで、締結完了までの日数が短縮されたという評価も繰り返し見られる。冒頭に書いた「投函から返送まで9日」のような状態が、相手方の対応さえ早ければ当日中に終わる。案件の着手日が前倒しになり、請求サイクルも早まる。
ただし、短縮幅は相手方の決裁スピードに完全に依存する点は押さえておきたい。先方の社内で稟議が回るのに1週間かかるなら、電子化しても1週間かかる。短縮されるのは郵送と製本にかかっていた分であって、相手の意思決定の時間ではない。「電子契約にすれば即日締結」という語り方は、この区別を落としている。
締結済み書類を探せることの評価
意外と大きいのが検索性の話だ。紙のときは「あの契約書、どのキャビネットだったか」から始まる。電子化すると、取引先名や書類名で絞り込める。契約更新の管理も、紙の台帳をExcelで手管理するより漏れにくい。
バックオフィス全体で見れば、この「探せる状態にする」という効果は、契約書だけでなく経費精算や労務書類でも同じ構図になる。社内の書類全般を電子化していく流れのなかで契約を検討している場合は、SmartHRの評判と料金体系を整理した記事や、マネーフォワード クラウド経費の評判をまとめた記事も合わせて読むと、どこから手をつけるべきかの優先順位が見えてくる。
クラウドサイン公式サイトで機能とサポート内容を見るクラウドサインのデメリット・注意点5つ
ここが本記事で最も時間をかけた章だ。良い点だけを並べた記事は読者の役に立たない。導入後に「聞いていなかった」となる項目を、何が困るのかまで含めて書く。
デメリット①|送信ごとの従量課金で、月額が事前に読めない
最大の注意点は料金構造そのものにある。月額固定費だけなら予算は確定するが、送信費用は使った分だけ後から乗る。繁忙期に契約が集中した月は請求額が跳ねるし、逆に閑散期は下がる。毎月同じ金額が引き落とされる前提で予算を組むと、必ずズレる。
何が困るのか。経理の観点では、月次の費用が変動することで予実管理が煩雑になる。加えて、部門ごとに費用を配賦している会社では「どの部署が何件送ったか」を把握しないと配賦できない。年度予算を組むときには、月間件数の上振れケース(たとえば平均の1.5倍)で試算しておかないと、期中で予算を追加する羽目になる。
対策としては、第4章の計算式で「平常月」「繁忙月」の2パターンを出し、年間では平常月×10+繁忙月×2のように加重して予算化するのが現実的だ。送信件数の月次推移は管理画面で確認できるはずなので、運用開始後は毎月チェックする担当を決めておきたい。
デメリット②|相手方の理解と同意が必要で、取引先によっては紙を求められる
電子契約は、自社だけで完結しない。相手が同意しなければ成立しない。そして現実には、「社内規程で代表印を押すことになっている」「電子だと上が納得しない」という理由で紙を求められるケースが一定数残る。特に歴史の長い企業、官公庁との取引、建設や不動産の一部商流では、この壁に当たりやすい。
何が困るのか。紙と電子の二重運用が発生する。これが最も厄介だ。契約書の保管場所が2か所に分かれ、更新期限の管理も二重になり、「あの契約は紙だったか電子だったか」を毎回思い出さなければならなくなる。電子化の目的が「探す時間を減らすこと」だったのに、かえって探しにくくなることさえある。
対策は、導入前に主要取引先へ打診して通過率を把握しておくこと。第5章で書いたFreeプランでの検証がそのまま使える。もし主要取引先の半数以上が紙を求めるなら、導入時期をずらすか、電子化できる取引先だけを先行させて段階的に広げる判断が必要になる。
デメリット③|立会人型のため、当事者型が求められる場面がありうる
第2章で触れたとおり、クラウドサインは立会人型(事業者署名型)にあたる。本人性の担保が導入の軽さと引き換えになっている方式であり、契約の性質や相手方の要求によっては、当事者本人の電子証明書による署名(当事者型)を求められる可能性がある。
何が困るのか。契約直前になって相手方の法務から「当事者型でお願いしたい」と言われると、その案件だけ別の手段を用意しなければならない。急ぎの案件だと、結局は紙に戻して郵送することになる。この可能性は、高額な契約・紛争リスクの高い契約・相手方の法務部門が厳格な契約で相対的に高くなる。
どの契約類型でどちらの方式が適切かは、契約金額・内容・当事者の属性によって変わるため、一般論で線を引くことはできない。社内で電子契約の運用規程を作る段階で、顧問弁護士に「当社の契約類型のうち、立会人型で運用してよいのはどこまでか」を確認し、その判断を文書化しておくのが最も安全だ。
デメリット④|月額固定費が、小規模事業者には重くなりやすい
第4章の実質単価の表がそのまま根拠になる。月5件の送信でLightを契約すると1件あたり2,640円、Corporateなら6,380円。個人事業主や創業間もない法人にとって、これは紙で送るより高くつく可能性が十分にある金額だ。
何が困るのか。「電子契約にすれば安くなる」と聞いて導入したのに、実際には月次の固定費が増え、削減できたのは郵送費と数十分の作業時間だけ、という結果になる。固定費の増加は解約するまで続くため、費用対効果が合わないまま惰性で払い続ける状態に陥りやすい。
対策は明快で、月間件数が十分に積み上がるまではFreeプランで運用すること。そして「月◯件を超えたら有料プランを検討する」という社内の目安を、実質単価の表から先に決めておくといい。たとえば「紙のコストが1件800円だったので、実質単価が800円を下回る月30件以上が安定したらLightへ」といった具合だ。
デメリット⑤|書類保管の上限超過コストと、インターネット前提の運用
5つめは2つの小さめの論点をまとめる。まず書類保管。10,000書類までは無料だが、超えると10,000書類ごとに月額10,000円(税込11,000円)が加わる。第3章の表のとおり月100件規模なら8年ほどで到達する計算で、長く事業を続けるほど確実に効いてくる項目だ。いったん発生すると、書類を削除しない限り毎月かかり続ける。
そして削除すればいいという話にはならない。契約書には法令上の保存期間があり、期間内の書類を保管コスト削減のために消すという判断は取りにくい。つまりこの費用は、事業を継続する限り積み上がる性質を持つ。予算計画では「10年目以降に発生する固定費」として認識しておきたい。
もう1点は、クラウドサービスである以上、インターネット接続がない環境では利用できないこと。電波の届かない現場での即時締結が必要な業務では、この制約が直接的に効く。何が困るかというと、その場で合意を取りたいのに取れず、結局は紙の書式を持ち歩くことになる。現場作業を伴う業種では、導入前に「どこで締結するのか」を業務フロー上で確認しておくべきだ。
5つのうち、①②④はいずれもFreeプランでの試用期間に数字を取れば事前に判断できる。取引先の通過率、月間の実送信件数、1件あたりの実質単価。この3つを2〜3か月測ってから有料プランに上げるだけで、導入後の後悔はかなりの割合で防げる。急いで有料契約を結ぶ理由は、どこにもない。
向いている会社・向いていない会社
向いている会社の条件
ここまでの内容を条件に落とし込む。次のいずれかに当てはまる会社は、クラウドサインの導入効果が出やすい。
- 月30件以上を安定して送る事業者——Lightの実質単価が623円前後まで下がり、紙のコストを下回りやすい
- 取引先が民間企業中心で、比較的新しい業種——IT・人材・コンサル・広告など、電子契約への抵抗が少ない商流
- 契約書の様式が定型で、繰り返し同じ内容を送る事業者——業務委託契約やNDAを毎月複数社に送るケース
- 契約書を探すのに時間を取られている会社——紙の書庫からの検索が業務のボトルネックになっている
- 締結までの日数が案件の着手日を縛っている会社——郵送の往復が売上計上のタイミングに直結している
- まずは0円で試す余裕がある会社——Freeプランで検証してから判断できる
特に3つめの「定型書類を繰り返し送る」条件は効果が大きい。同じ様式を何度も印刷・製本していた工程が丸ごと消えるからだ。一方、案件ごとに契約書を一から作っている会社では、削減されるのは締結工程だけで、作成工程の負荷は変わらない点に注意したい。
向いていない会社の条件(ここを読み飛ばさないでほしい)
売り手として都合が悪い話だが、次の条件に当てはまる会社は、少なくとも今すぐ有料プランを契約すべきではない。
| こういう会社は | 理由 | 代わりにどうするか |
|---|---|---|
| 月間の契約締結が数件しかない | 実質単価が2,640円〜6,380円となり、紙より高くつく可能性がある | Freeプランで運用し、件数が増えてから有料を検討する |
| 主要取引先が押印を必須としている | 紙と電子の二重運用になり、管理工数がかえって増える | まず取引先に打診し、通過率を測ってから導入時期を決める |
| 高額・長期の重要契約が中心 | 当事者型の署名を求められる可能性があり、案件ごとに別手段が必要になる | 顧問弁護士に運用範囲を確認し、対象契約を限定する |
| 電波の届かない現場で即時締結する業務 | クラウドサービスのためオフラインでは利用できない | 現場は紙、オフィス発の契約のみ電子と割り切る |
| 社内の承認フローが未整備 | 誰でも送信できる状態になり、統制が効かなくなる | 押印規程・電子契約規程を先に整備してから導入する |
| 法令で書面交付が求められる書類が中心 | そもそも電子化の対象にならない | 対象書類を仕分けし、電子化可能な範囲だけで件数を再計算する |
迷ったときの判断手順
判断に迷う場合は、次の順番で潰していくといい。第一に、直近6か月の締結件数を数える。第二に、そのうち電子化できる書類が何件かを仕分ける。第三に、その件数を第4章の計算式に入れて実質単価を出す。第四に、紙の1件あたりコストを第6章の表で自社実測する。第五に、両者を比べる。
ここまでやって差が出なければ、急いで導入する理由はない。逆に明確に差が出るなら、Freeプランで取引先の通過率だけ確認して、問題なければ有料へ上げる。この手順は半日もあれば終わる。数十万円の年間コストを決める判断に、半日を使わない理由はないはずだ。
他の電子契約サービスとどう比べるか|金額ではなく仕組みで見る
他社の金額は、この記事では書かない
先に断っておく。他社サービスの料金は、本記事では金額を掲載しない。クラウドサインについては公式の料金ページを直接確認したが、他社については同じ水準の確認を取れていないためだ。確認していない数字を表に並べれば、見た目は充実するが、読者が稟議に転記した瞬間に事故になる。
代わりに、金額以外の軸で比較する。実際のところ、電子契約サービスの選定で後から効いてくるのは金額差よりも署名の方式・相手方の負担・既存システムとの接続性だ。ここを揃えずに月額だけで選ぶと、運用開始後に困る。
比較で見るべき5つの軸
| 比較軸 | 何を見るか | クラウドサインの位置づけ | 確認方法 |
|---|---|---|---|
| 署名の方式 | 立会人型か、当事者型か、両対応か | 立会人型(事業者署名型) | 各社の公式サイトで方式の記載を確認 |
| 受信者の負担 | 相手にアカウント登録や証明書取得を求めるか | アカウント不要で署名可能 | 各社のデモ・無料プランで実際に自分宛に送ってみる |
| 料金構造 | 固定費のみか、従量課金か、その併用か | 固定費+送信1件ごとの従量課金 | 公式料金ページで「送信費用」の行があるかを見る |
| 外部連携 | 自社が使う業務システムと繋がるか、どのプランからか | 外部サービス連携に対応。対象と対応プランは要確認 | 各社の連携一覧ページで自社利用ツール名を検索する |
| 日本語対応・サポート | UI・契約書式・問い合わせ対応の言語 | 国内向けサービスとして日本語で提供 | サポート窓口の対応時間・手段を申込み前に確認 |
この5軸のうち、多くの会社にとって決定打になるのは2つめの「受信者の負担」である。なぜなら、ここが重い製品を選ぶと、取引先への説明コストが件数分だけ発生し続けるからだ。1社あたり30分の説明を50社に行えば25時間。月額の差額数千円を気にしている場合ではなくなる。
海外取引が中心なら、選定軸が変わる
英語での契約が中心、あるいは海外法人との取引が多い場合は、国内向けサービスより国際的に利用されている製品のほうが、相手方にとって馴染みがある可能性が高い。「相手が知っているサービスかどうか」は、電子契約では意外に重要な選定基準になる。相手の法務が過去に承認したことのある製品なら、社内の確認プロセスが早く進むからだ。
一方、取引先が国内企業中心であれば、この観点は逆に働く。日本の商慣習に合わせた製品のほうが、相手方も扱いに慣れているケースが多い。自社にとっての使いやすさではなく、相手方にとっての通りやすさで選ぶ。これが電子契約の選定における最大のコツだと言っていい。
導入から解約まで|申込み手順・プラン変更・契約条件
無料プランから本運用までの5ステップ
電子契約の導入で失敗する会社は、たいてい順番を間違えている。ツールを契約してから社内規程を考え始め、規程がまとまらないうちに取引先へ送ってしまう。正しい順番は次のとおりだ。
公式サイトからアカウントを作成し、自分宛あるいは同僚宛に1通送ってみる。PDFのアップロード、署名欄の配置、送信、受信、同意までの全工程を自分の手で通す。ここで「自社の契約書PDFがそのまま使えるか」「署名欄の位置指定に無理がないか」が分かる。所要時間は30分程度。
誰が送信ボタンを押す権限を持つのか、送信前に誰の承認を取るのか、締結済み書類を誰が確認するのか。これを決めずに運用すると、契約書が承認なしで外に出る。既存の押印規程がある会社は、その「押印」を「電子契約による締結」に読み替える改定が必要になる。この工程が最も時間がかかるので、最初に着手する。
実際に電子契約で送ってよいか事前に打診し、Freeプランの範囲で送ってみる。何社が問題なく署名まで進み、何社が紙を求めたかを記録する。この数字が、有料プランへ上げるかどうかの最大の判断材料になる。同時に、送信から締結までの実日数も記録しておく。
2〜3か月の実送信件数の平均を出し、月額固定費+件数×220円で月額を算出する。ユーザー管理や外部連携が業務上必要かを確認し、不要ならLight、必要ならCorporateを選ぶ。件数でプランを決めないこと——第4章で示したとおり、件数による損益分岐点は存在しない。
契約後は、毎月の送信件数と請求額を記録する担当を決める。従量課金である以上、放置すると予算との乖離に気づけない。半年ほど運用したら、実質単価(総額÷件数)を計算し、紙のときのコストと比較して導入効果を検証する。
プラン変更で確認しておくこと
プランの上げ下げは運用しながら発生する。たとえば繁忙期だけ上位プランにして、落ち着いたら戻すという運用ができるかどうか。ここは会社によって意味が大きく変わる項目だが、本記事では変更のタイミング・日割りの有無・適用開始日について、公式に確認できた一次情報を持っていない。したがって条件を書かない。
代わりに、確認すべき質問を具体的に列挙しておく。この質問リストをそのまま公式サポートへ送れば、自社にとっての答えが得られる。回答はメールで残し、社内の稟議資料に添付しておくと後から揉めない。
プラン変更について
・上位プランへの変更はいつから適用され、その月の料金はどう計算されるか
・下位プランへの変更に制限はあるか。変更のタイミングに条件はあるか
・プランを下げた場合、上位プランで使っていた機能や設定はどうなるか
解約について
・解約の申し出はいつまでに行う必要があるか(当月末/前月末など)
・最低利用期間や、途中解約時の違約金の定めがあるか
・解約後、締結済みの契約書データは閲覧・ダウンロードできるか。できる期間はいつまでか
支払いについて
・支払方法の選択肢(クレジットカード/請求書払い等)と、請求のタイミング
・送信費用は当月精算か翌月精算か
解約時に最も重要なのは「データの持ち出し」
上のリストの中で、太字にした1項目だけは特に強調しておきたい。解約後に締結済み契約書をどう扱えるか。ここを確認せずに契約する会社が非常に多い。
契約書には法令上の保存義務がある。解約と同時にデータへアクセスできなくなると、保存義務を果たせない状態になりかねない。そのため、実務上は解約前に全書類をダウンロードして自社側に保管するのが定石になる。数千件を一括で落とせるのか、1件ずつなのか。この違いで、解約作業にかかる日数が数時間から数週間まで変わる。
なお、解約する予定がなくても、この確認はしておく価値がある。将来の乗り換えやすさは、そのままベンダーとの交渉力になるからだ。「いつでも持ち出せる」状態を保っておくこと自体が、リスク管理として機能する。
会計・経費まわりのツールと足並みを揃える
契約だけを電子化しても、請求書や領収書が紙のままなら、バックオフィス全体の効率はさほど変わらない。電子帳簿保存法への対応も、契約・請求・経費の3つが揃って初めて運用として成立する。freee会計の評判とデメリットを整理した記事では、会計側の電子化で何が変わり、どこでつまずくのかを具体的に扱っているので、契約と会計をまとめて見直すつもりなら合わせて確認してほしい。
優先順位をつけるなら、件数が多い業務から着手するのが原則になる。契約が月5件で経費精算が月200件なら、先に手をつけるべきは経費のほうだ。電子契約の導入を検討している段階で、自社のどの業務に一番時間が溶けているかを一度棚卸ししておくと、投資の順番を間違えずに済む。
クラウドサイン公式サイトで無料プランの申込み条件を確認する電子契約の法的な扱いと、電子帳簿保存法まわりの注意
この章の書き方について
電子契約の法的効力については、断定的・網羅的な解釈を本記事では提供しない。電子署名法や電子帳簿保存法の要件をどう満たすかは、契約の類型・運用方法・保存体制によって結論が変わる領域であり、記事の一般論で判断してよい話ではないからだ。
ここで書けるのは、「どこを確認すべきか」の地図までである。実際の判断は、顧問弁護士・税理士・所轄の官公庁の情報にあたってほしい。以下は、社内で検討を始めるときの論点整理として読んでもらいたい。
① 自社の契約類型が電子化可能か。法令で書面交付が義務づけられている書類は電子化できない、あるいは特別な要件を満たす必要がある場合がある。
② 立会人型で足りるか、当事者型が必要か。契約の重要度と相手方の要求によって判断が変わる。
③ 電子帳簿保存法の保存要件を、自社の運用全体で満たせているか。契約書だけでなく、請求書・領収書を含めた電子取引データ全体の話になる。
電子帳簿保存法との関係で押さえる論点
電子取引で授受したデータは電子のまま保存することが求められる、というのが電子帳簿保存法の基本的な枠組みだ。電子契約で締結した契約書は、まさにこの電子取引データにあたる。したがって、印刷して紙のファイルに綴じて終わり、という運用では要件を満たさない可能性がある。
ここで論点になるのは、保存要件をサービス側の機能で満たすのか、自社の運用で満たすのかという切り分けだ。検索できる状態で保存すること、改ざんされていないことを担保すること——これらをクラウドサインの保管機能に依存するのか、自社のファイルサーバーへ落として別途管理するのか。設計が曖昧なまま運用に入ると、税務調査の場で説明できなくなる。
そして前章で触れた「解約後のデータ」の論点が、ここに直結する。サービス側の保管機能に依存した設計にしていると、解約がそのまま保存要件の未達につながりかねない。保存の設計とベンダーの継続利用が結びついていないかを、導入設計の段階で確認しておきたい。
印紙税について言えること・言えないこと
印紙税法の課税対象は「文書」であり、電子データのみで完結する契約には印紙税が課されない、という整理は広く共有されている。電子契約のコスト削減効果として最も大きく語られるのがこの点だ。
ただし本記事では、削減額を金額で示さない。理由は2つある。1つは、印紙税額が契約書の種類と記載金額によって決まるため、一律の金額を書けないこと。もう1つは、運用の実態——たとえば締結後に紙へ出力して押印する工程を挟むかどうか——によって取り扱いの結論が変わりうるためだ。
自社での削減額を出したい場合は、直近1年間に購入した収入印紙の総額を経理から取り出し、そのうち電子化可能な契約に貼ったものが何割かを仕分けるのが最も正確だ。この数字は実額なので、稟議でも強い。一般論の相場をコピーしてくるより、自社の帳簿から出したほうが説得力が出る。
クラウドサインの料金・評判に関するよくある質問
料金についての質問
機能・運用についての質問
まとめ|クラウドサインを選ぶかどうかの最終判断
今日やるべきことは1つだけ
この記事を読み終えたあと、すぐに有料プランを契約する必要はない。今日やるべきことは、直近6か月に締結した契約書の通数を数えることだけだ。経理の郵送記録でも、契約書ファイルの追加数でもいい。その数字を12で割れば月平均が出る。
出た件数を、この記事の計算式に入れる。12,100円+件数×220円。それが、あなたの会社がライトを契約した場合の月額だ。それを件数で割れば実質単価が出る。その数字が、紙で1件送るコストより高いか安いか。判断はそこで9割終わる。
計算して「電子化したほうが安い」と出たなら、次は公式サイトで0円のFreeプランに登録し、取引先5社に送ってみる。ここまでが無料でできる。有料プランの検討は、その結果を見てからで遅くない。
この記事で押さえた要点
クラウドサインの料金と評判|要点まとめ
- 料金は「月額固定費+送信1件220円(税込)」の二層構造。月額プランに送信件数は一切含まれない
- Free 0円/Light 月額11,000円(税抜)・12,100円(税込)/Corporate 月額28,000円(税抜)・30,800円(税込)
- 計算式は 月額コスト=固定費+件数×220円。月30件ならLightで18,700円、Corporateで37,400円(いずれも税込)
- 送信単価が同じなので、件数によるプランの損益分岐点は存在しない。差額は常に月18,700円(税込)で一定
- プランは件数ではなく、ユーザー管理・権限設定・外部連携といった必要な機能の有無で選ぶ
- 月額固定費と送信費用の主役が入れ替わるのは、ライトで月55件、コーポレートで月140件
- 1件あたり実質単価はライトで月10件なら1,430円、月30件なら約623円、月100件なら341円
- 書類保管は10,000書類まで無料。超過分は10,000書類ごと月10,000円(税込11,000円)
- デメリットは①費用が読みにくい②取引先が紙を求めることがある③立会人型の適用範囲④小規模には固定費が重い⑤保管上限とオフライン不可
- まずは0円のFreeプランで、取引先の通過率と実送信件数を2〜3か月測ってから有料へ
- 解約時の契約書データの持ち出し可否は、申込み前に必ず公式へ確認する
- 電子署名法・電子帳簿保存法の要件判断は、必ず顧問弁護士・税理士に確認する
最後にもう一度だけ。この記事に載せた金額は2026年9月時点で公式の料金ページを確認したものだが、料金は改定されうる。契約を決める前には必ず公式サイトで最新の金額を見てほしい。そして、この記事が他の記事と数字で食い違っていたら、公式のほうを信じてほしい。
クラウドサイン公式の料金ページで最新の金額を確認する
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